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世界地図の下書き 朝井リョウ

直木賞受賞後第1作として注目されている1冊ということで読んでみたのだが、同時に、この作者にはこうした作品もあるのかと驚かされる1冊でもあった。話の内容は、非常に単純で、かつ涙腺の弱い人にはそれだけでジーンときてしまうような設定だが、作為的な泣ける小説とは、明らかに品格が違うという気がした。最後のクライマックスで読者の心に映るきれいな情景も格別だし、発せられるメッセージも明快で、私などもこの作品のメッセージをもとに、もう一度色々人生について考えてみるもの良いかななどと思ってしまった。著者の本は、「チア男子」などをまだ読んでいないが、これなどもまた全く別の著者の顔を見せてくれそうな感じだし、そうした意味で、著者の才能の広さをつくづく感じる。(「世界地図の下書き」 朝井リョウ、集英社)

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