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ノックス・マシン 法月倫太郎

2013年のランキングを総なめにした感のある本書。4つの中短編が収められているが、表題作の「ノックスマシン」他いずれの作品も、「本格ミステリー」でも「本格SF」なく、「本格ミステリーSF」としか言いようのない特別な作品だ。内容は、中学生の頃に読んだ、アガサ・クリスティやエラリー・クイーンといった古典的なミステリーへのオマージュになっていて、そうした作品を読んだ経験のある読者には、その懐かしさがたまらない。特に、ミステリー界の有名な事件、例えばアガサ・クリスティの謎の失踪事件とか、ポアロ最後の事件発表の顛末などを上手くストーリーの中に織り込んで読ませる内容は嬉しくて涙が出そうになる。そういえば、表題作の「ノックスマシン」で扱われている「10か条」のうちの「中国人」に関する部分は、それを読んだ当時、私自身も非常に不思議に思ったのを覚えている。(「ノックス・マシン」 法月倫太郎、角川書店)

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