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現代中国悪女列伝 福島香織

現代中国の悪女というと、文化大革命の4人組の1人「江青女史」を思いだすが、本書では、現代中国史に名を残すような傑出した女史、ネットで露悪的な人気を集める女性等、色々なパターンの「悪女」が紹介されている。読んでいると、その凄まじい権力欲や嫉妬心に驚ろかされるが、何人かの話を続けて読んでいると、その背後にある中国における政治の腐敗や男尊女卑の凄まじさの方が怖いという気になってくる。著者による最後のまとめでも、「悪女」が活躍する背景には必ず「悪い男」がいることが指摘されているし、中国の女性がほとんど権利を主張出来ない環境下、「悪女」の方が人間的なのではないかという指摘も実にもっともなことだと感じる。本書の難点は、全く図版や写真がなく、どのような顔をしている女性なのか、いちいちネットで確認しなければならなかったのが煩わしかったことだが、それを除けば非常に読みごたえのある新書だった。(「現代中国悪女列伝」 福島香織、文春新書)

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