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日本の農業を破壊したのは誰か 山下一仁

農村・農家・農協の実像を判り易い数字で解説してくれる本書。農協については、仕事の関係で多少の知識は持っているが、農村・農家の実態については、知らなかったことばかりでかなり驚かされた。農作業というと毎日毎日神経をすり減らすような重労働というイメージがあるが、実際は0.5ヘクタールの米を作るための仕事量が現在では半月ほどに軽減されているということ。零細の兼業農家ほど、農作業に費やせる時間がないので、農薬づけになっていて環境に優しくないという実態。農作業を軽減するための機械化で過剰な設備投資が行われそのコストが生産者価格の上昇、米価の上昇につながり、それが農協の資金になって還流するという仕組み。いずれも言われてみれば「なるほど」と言うことばかりだ。日本の農業について過剰な悲観論・楽観論をいずれも是としない著者の姿勢に感銘を受ける1冊だ。(「日本の農業を破壊したのは誰か」 山下一仁、講談社)

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