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人の砂漠 沢木耕太郎

著者の若い時の著書で、かなり昔の本なのだが、新横浜の書店で、「自分の人生を変えた本」としてPOPで紹介されていたので、読んでみた。最近は、ずっと読んでいる「書評誌」も何だかマンネリで、新しい発見をサポートしてくれる頻度が落ちているように思われ、新しい本の選び方として、本屋さんの「手書きのPOP」を無条件で信じて読んでみるということをしばしばするようになった。本書もそうした1冊だ。読んでみて、久しぶりに本当のドキュメンタリーを読んでいるなぁという実感がこみ上げてきた。最初の「老女の孤独史」の話では、日本の歯医者さんに関するある記述に仰天した。私が小学校の頃まで、こんな事実があったとは、まさに驚きだし、私の通っていた歯医者さんというのは何だったのだろうかという疑問も湧いてきた。そういえば、歳をとってくると、自分の子供のころの記述が、今からは想像できないほど昔のように感じる、というようなことが良くある。これもその1つだろうなぁと考えた。また沖縄与那国島の話等は、今はどうなっているのか知りたくなった。その当時あまり知られていなかった事実を述べた文章を、ずっと後になって、自分の記憶や体験と照らし合わせて読んでいくという作業の面白さを発見させてくれた1冊だった。(「人の砂漠」 沢木耕太郎、新潮文庫)

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