書評、その他
Future Watch 書評、その他
禁忌 フェルディナント・シーラッハ
作者の作品はこれで4作目。新鮮なトリックや意外な犯人に驚かされると言った要素はあまりないが、何故か読んでいてミステリーの醍醐味を感じる作品に惹かれて、作者の本は見つけるとすぐに読んできた。今回も本屋さんで見つけてすぐに入手したのだが、書評かなにかで「やや難解な作品」と紹介されていたのが引っかかり、何となく読むのが後々になってしまった。最初に読んだ作者の作品で、自分では面白いと思ったのだが、解説のところで「別の読み方が可能」というような謎めいた文章があり、その意味が分からずにもやもやした気分になった。そのことがずっと気になっていて、「難解」と言われるとまた同じ気分を味あわされるのではないかという気がして、嫌だったのだ。読んでみると、最初のうちはどういう話になるのかよく分からず戸惑ったが、だんだん話が見えてくると、面白くなり、最後に凄いどんでん返しがあってびっくりさせられる。それだけで十分なようだが、最初のうちの記述を考えると、ただ面白かったというだけではない、色々な読み方が出来るような気がする。研ぎ澄まされた文章と、そうした多面性が、著者の真骨頂であり、高い評価の理由でもあるのだろう。(「禁忌」 フェルディナント・シーラッハ、東京創元社)
体調不良(たぶんインフルエンザ)につきしばらく更新を休みます。
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