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望遠ニッポン見聞録 ヤマザキマリ

イタリアで暮らす日本人女性の本をこれまでいくつか読んできたが、須賀敦子の「ミラノ~霧の情景」、塩野七生の「ローマ人の物語」等、傑作と呼ばれるものが数多い気がする。日本の女性の感性が、イタリアの日常や歴史を掬い上げるのに適した特性を持っているのか、それとも「文才のある女性」がイタリアを好むという不思議な相関があるのかは判らないが、本書もそうした日本女性とイタリアの幸福な出会いから生まれた産物という期待を持って読み始めた。もともと「「テルマエロマエ」の作者という独特な感性の作品を生んだ作者であるから、一筋縄ではいかないエッセイだろうなぁと思いつつ読み始めたのだが、予想に反して、現在著者はシカゴ在住というではないか。何だか肩すかしを食った感じもしたが、やはり著者の目はどこかでイタリア的なものを持っているような気もするし、ごく普通の文化論としても十分に楽しむことができたことだし、「まあ良いか」という感じだ。(「望遠ニッポン見聞録」 ヤマザキマリ、幻冬舎文庫)

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