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アンと青春 坂本司

前作の「和菓子のアン」は、軽いお仕事ミステリーかと思いきや、鋭い社会問題へのまなざしが印象的な一冊だった。そうした点も含めて、このシリーズはかなり注目されているらしい。やはり世間はちゃんと見ているのだなと思った。そんな感じでかなり高い期待を持って読み始めたが、第2作目の本書は、社会問題も多少は絡んでいるが、話の中心は主人公の自分の仕事に対する揺れ動く想いだ。正規社員の割合の減少など働き方の変化が色々な社会問題になっている現在だから、それも社会問題の一つと言えなくもないが、雰囲気としては、もう少し個人的な心の物語に終始している。仕事とは何かを考えるきっかけになる正統派のお仕事小説だ。(「アンと青春」坂本司、光文社)

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