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間取りと妄想 大竹昭子

新刊書の書評が出た時から読みたいと思っていたのだが、ネット書店でしばらく「在庫なし」と表示されていた本書。突然「在庫あり」に変わったので、この機を逃してはいけないと思い購入した。奥付けを見ると第四刷とあり、結構静かなブームになっていることを想起させる。本書は短編集だが、それぞれの短編の最初に一つの間取り図が提示され、その後にその間取り図を舞台にした短いお話が続いている。話の内容は、深くその間取り図に関わるものだったりそうでなかったり様々だ。読み始めてすぐに本書の題名の意味が理解できたような気がした。おそらくこれらの短編は、作者が間取り図を見てそこから立ち昇ってくるイメージを記したものなのだろう。世の中に「間取りマニア」という言葉があるかどうかは知らないが、もしあるとしたら、彼らはこうした妄想で楽しんでいるのかもしれない。それをストレートに書いて、しかも多くの読者に読ませるというのは、かなり凄いことだと思う。(「間取りと妄想」  大竹昭子、亜紀書房)

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