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ワトソン力 大山誠一郎

近くにいるだけで何故か周囲の人々の推理力を飛躍的に高めてしまういう特殊能力「ワトソン力」を持った主人公という設定の連作短編ミステリー。ひとりの人間がこんなに色々の事件に出くわすというのも不自然な気がするが、すでに「ワトソン力」という設定そのものが荒唐無稽なので、その特殊能力とは別に「事件を引きつける能力」も併せ持っているということなのかもしれない。こうした荒唐無稽な設定とは裏腹に、一つ一つの事件とその真相解明までの推理合戦はとても緻密な本格ミステリーで、推理力が高まった関係者が次々と繰り出す自己流の仮説と、別の関係者によって披露されるそれをひっくり返す新しい仮説の畳み掛けがひたすら楽しい。最後に続編の予告みたいな部分もありこれからまだ色々楽しめそうだ。(「ワトソン力」 大山誠一郎、光文社)
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