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パリの砂漠、東京の蜃気楼 金原ひとみ

初めて読む作家のエッセイ集。芥川賞を受賞して話題になった時も、何か自分には合わないジャンルのような気がして読まなかったのだが、書評誌で2020年の年間ベストランキングの2位になっていたので、読んでみるチャンスかもしれないと思って読んでみた。内容は、著者のパリでの生活と日本に帰国してからの日々を綴ったエッセイで、自分の精神を削りながら文章を書くことに救いを求める様が胸を打つ。著者が今の世の中の流れに身を委ねることに強い違和感を持つ様は感受性の強い人という言葉だけでは済まないものだし、それを的確に文章で見せてくれる様は理性だけでは文章を書くことができない領域があることを教えてくれる。(「パリの砂漠、東京の蜃気楼」 金原ひとみ、集英社)
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