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夢の山岳鉄道 宮脇俊三

読書界で静かなブームになっているという山と渓谷社刊行の一冊。自然破壊と交通渋滞に悩む「上高地」の道路を一般車進入禁止にして山岳鉄道を敷設してはどうかという著者のアイデアが大反響を起こしたのをキッカケに、著者が道路から鉄道へ切り替えた方が良いと考える国内外の場所をシリーズで紹介するという内容。富士山、屋久島、比叡山、祖谷渓、蔵王といった定番の観光地が次々と俎上に載せられて、道路による美観や環境面での問題点を鉄道で一気に解決とうたう。鉄道ファンの妄想といってしまえばそれまでだが、鉄道の方が環境や景観に優しいという仮定を正しいとすれば、いずれの主張にもとても説得力がある。鉄道ファンらしい徹底した調査と思考で、鉄道会社の季節ごとの採算、設置する駅の場所、鉄道の種類まで大真面目かつ事細かに言及しているのが何とも楽しいし、さらに実際に完成後の鉄道の風景までがイラストになっていて思わず唸ってしまう。鉄道ファンでない人にもものすごく楽しい一冊だった。(「夢の山岳鉄道」 宮脇俊三、ヤマケイ文庫)
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