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戒名探偵 卒塔婆くん 高殿円

お寺の次男坊と戒名やお墓についてやたら詳しい高校生コンビが、仏教界の大小の謎を解くというコージーミステリーの連作短編集。書評誌の今年のベストテンにランクインしていたので読んでみた。設定の奇抜さ、表紙の絵などライトノベルタッチの軽い読み物風だが、実際は、仏教界の問題やあるあるを徹底的に調べ上げたような重厚な内容のミステリーだった。最初の一編では漢字数文字の戒名だけからその戒名がつけられた人物の生涯を推理して最終的に個人名を特定してしまうという離れ業が演じられる。また最終話の中編は太平洋戦争で亡くなった兵士の遺骨を収集して弔う活動などを絡めた内容で、色々と考えさせられた。主人公にまつわる謎が謎のまま終わることもあり、続編への期待が高まる一冊。(「戒名探偵 卒塔婆くん」 高殿円、角川文庫
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