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夜が明ける 西加奈子
本屋大賞ノミネート作品。様々なハンディキャップや心の傷を抱えた2人の青年の半生を描いた作品。帯には著者自身の「当事者でないものが書いて良いのかという葛藤があった」という趣旨の言葉が載っており、読者側としても全く同様の気持ちで当事者でないものが安易に感想を述べるのがためらわれる作品だ。この物語はフィクションであり、フィクションというものは著者にとっては「書いたものが全て。評価は読者に委ねる」というもののはず。それにもかかわらず「ためらわれた」ということは、著者に「書いたものの評価を読者に委ねる」のとは別の思いがあったからに違いない。フィクションは往々にして現実を先取りする。この物語は「夜が明ける」という題名ではあるが、明るさを見ることができるのはまだまだ先の話だろう。そういう意味でこのフィクションは現実を先取りしている予感が題名に込められている。(「夜が明ける」 西加奈子、新潮社)
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