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財布は踊る 原田ひ香

お金にまつわる問題で苦労している人々が何人も登場して複層的に話が進んでいく連作小説。犯罪に手を染めてしまう人、それに加担してしまう人、犯罪寸前のところで踏みとどまる人、逆に犯罪の被害にあって事態をさらに悪化させてしまう人、投資の知識で乗り越えようとする人など顛末は様々だが、登場人物全体に占める割合としては逆境から抜け出せない人の方が多いのは現実がそうだからなのだろうか。そうした彼我の差が利己的な欲望とか運とか決断力とかだけでは説明できない現実があるのか、色々考えながら読み終えた。(「財布は踊る」 原田ひ香、新潮社)
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