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ボブディラン 北中正和

ボブディランの音楽面の軌跡に特化した解説書。我々の世代は、反戦や反権力を歌詞に込めたメッセージ性の強いフォークシンガーだったボブディランがある時急に退廃的なロックに日和ったと大騒ぎになったのを間近で見てきた世代だ。実際、78年に彼が初来日した時、大学の授業をサボって日本武道館でのコンサートを聞きに行き、エレキギターを手に自身の曲を何とも軽い感じにアレンジして演奏する彼を見て大いに戸惑った記憶がある。そうしたこともあり、それからの40年以上にわたって彼がどのような音楽活動をしてきたのか、あまり関心を持ってこなかったというのが正直なところだ。本書を読んで、何度かの活動休止期間を除き、様々なミュージシャンとコラボしながらひたすらコンサートを続けていたということを知り、とても驚かされた。実際、彼の曲で思い出せるのは、「風に吹かれて」「激しい雨が降る」「戦争の親玉」「ライクアローリングストーン」「ミスタータンブリンマン」など初期の数曲しかないが、その後の曲も聴いてみたくなった。(「ボブディラン」 北中正和、新潮新書)
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