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中野京子の西洋奇譚 中野京子

ハーメルンの笛吹き男、ジェヴォーダンの魔獣、蛙の雨、ドラキュラ伯爵といった西洋を舞台にした有名かつ不思議な出来事や事物を、歴史、文学、美術の知見を持って解説してくれるエッセイ集。ハーメルンの話はペスト流行の暗喩、ジェヴォーダンの話はすごく大きな狼だった、蛙の雨は近くで起きた竜巻の仕業ということで決着がついていたのかと思っていたが、そう簡単な話ではなかった。日本に置き換えて、カッパはカワウソ、ツチノコはヘビを見間違えただけ言われても釈然としないし、既知のものの誤認とか年月を経て話が盛られていったでは説明できないものがある気がするのと同じだろう。ジェヴォーダンの獣の話ではこの出来事とフランス革命のつながりという記述があり、著者の考えの面白さと奥深さを感じた。なお、題名に著者名が入っているのはそれだけこの著者が「西洋美術」の啓蒙書の著者として有名だということで、自分もその題名に惹かれた1人だが、本書の表紙裏の著者紹介欄に「美術史家」とかではなく「作家、ドイツ文学者」と書かれていてびっくりした。(「中野京子の西洋奇譚」 中野京子、中公新書ラクレ)
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