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フェイクマッスル 日野瑛太郎

今年の江戸川乱歩賞受賞作。男性アイドル歌手のドーピング疑惑を調査するために彼がコーチを務めるジムに潜入捜査を命じられた若手雑誌記者が主人公。巻末の乱歩賞審査員のコメントを読むと、潜入捜査が目的のはずがマッスルトレーニングにハマってしまう主人公が微笑ましいといったところが評価されている一方、展開に無理があるといった苦言が書かれているが、読んだ限りは芯となるミステリー部分こそこの作品の良いところだし、警察組織に詳しい人にとってはストーリーに多少無理なところがあるかもしれないが自分のような素人にはそんなこともあるかなというくらいで全く気にはならなかった。主人公がピアノの練習を余儀なくされるくだりは、ただの展開上の成り行きかと思ったが、最後に明かされる疑惑の真相と呼応していて、そういうことだったのかとびっくりした。色々な面白さの詰まった一冊だった。(「フェイクマッスル」 日野瑛太郎、講談社)
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