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藍を継ぐ海 伊与原新

大好きな作家の最新連作短編集。今回は、最盛期の萩焼に使う幻の土を探す若者と岩石研究に励む地質学者、都会生活に疲れて地方に移住してきた女性とニホンオオカミ、長崎の原爆直後の科学データを記録し続けた在野の学者と空き家問題に取り組む市役所職員、北海道で隕石を探す人々と地域の郵便局員、アメリカの海岸で日本の調査タグをつけたウミガメを助けたネイティブアメリカンにルーツを持つアメリカ人と日本の少女、こうした時代も場所も想いも違う人々が織りなす物語。ストーリーも感動的だし、話の合間に出てくる科学トリビアもとても面白い。特に、オオカミから犬に進化の枝分かれをした際にヒトという種が関わったという仮説、北海道で見つかった隕石は一個だけという話、ウミガメの母浜回帰の話などは、ストーリーの中で何気なく出てくる話だが、全く知らなかった事実にびっくりした。(「海を継ぐ海」 伊与原新、新潮社)
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