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四つの白日夢 篠田節子

著者の本は2冊目、短編集は本書が初めてだが、話の雰囲気は前に読んだ作品と似ているので、こういう作風の作家なのだと思う。具体的には、夜中に天井から聞こえてくる不思議な物音、ヴァイオリンケースとワインボトルを抱えた老人が小田急線車内に忘れていった遺失物、借金のかたとして譲り受けた多肉植物に取り憑かれていく男、義母の遺影に写っていた謎の人物など、少し謎めいた要素や奇妙な感覚に読者を誘い込むところがある内容。ただし各編の肝はそうした謎の真相そのものではなく、謎が解かれた後に待っているちょっとした物語。たまにはこうした不穏と暖かさの入り混じった小説も良いなぁと思った。(「四つの白日夢」 篠田節子、朝日新聞出版)
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