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怖いクラシック 中川右介

クラシック音楽の歴史を少し捻った視点から解説してくれる一冊。題名に使われている「怖い」という言葉は、聴き手を楽しませたり心地よくさせることを第一義とする音楽と対極にある、作曲者自身の心情の吐露や聴き手に緊張感を与えることを目的とした音楽の系譜を指していて、そうした音楽がモーツァルトから始まるという歴史観を象徴する言葉として使われている。モーツァルト以前の作曲家は、誰かの依頼で作曲したり何かの目的で集まった人々に心地よさを与えることを目的に作曲をしていたが、モーツァルト以降、誰からの依頼でもなく、自らが演奏の場をアレンジして披露するという新しい形の音楽が誕生したという。そうした音楽は聴き手の心地よさを優先しないため、よりダイナミックにより強烈に音楽というものの多様性を我々に提供してくれるようになったということだ。本書ではそうした視点で近代の西洋音楽史が語られているのだが、それでいて非常にわかりやすい音楽史の解説になっているところがすごいと感じた。、
(「怖いクラシック」 中川右介、NHK出版新書)
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