書評、その他
Future Watch 書評、その他
贖罪 湊かなえ
デビュー作「告白」で本屋大賞を受賞した作者の第3作目。2作目の「少女」も手元にあるが評判の高いこちらを先に読むことにした。複数の人のモノローグをつなぎ合わせて事件の全体を明らかにしていく体裁やモノローグの雰囲気は「告白」とよく似ている。その分「告白」のような衝撃は受けなかったが、最近の事件や社会的風潮を上手く取り入れた事件の不気味さ等は「告白」と同じくらい面白かった。この手法でこの種の内容ということに限れば、史上初のデビュー作での大賞受賞はフロックでなかったことが十分に証明されたように思う。是非次の作品では違う面での才能でびっくりさせて欲しい。(「贖罪」湊かなえ、東京創元社)
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ブラディ・コルベット サイン アラン サンダーバード
・長男(スコット)役…フィリップ・ウィンチェスター(2007年11月14日紹介)
・次男(ジョン)役…レックス・シャプネル(2008年5月4日紹介)
・3男(バーシル)役…ドミニク・コレンソ(2007年11月14日紹介)
・5男(アラン)役…ブラディ・コルベット(本日)
後は
・4男(ゴードン)役…ベン・トージャーセン
を残すのみである。この作品のサインはあまり出回っていないので、いつになるか判らないが、じっくり待っていずれ入手するつもりだ。
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キリストの身体 岡田温司
著者の本を読むのは「マグラダのマリア」に続いて2冊目。前作もそうだったが、著者の持っている宗教と芸術に関する膨大な知識の一部を、惜しみなく素人にも判りやすい形で解説してくれている。本書では「キリストの身体」という切り口で、イコン、聖遺物、聖痕といったものを芸術作品に刻まれた痕跡から解き明かし、その宗教的意味や昔の人々のそれらに対する考え方などを教えてくれる。「ヴェロニカ」などは初めて知る事実も多い。本書が本当にすごいと思うのは、全ての説明が実際の絵画などの図版を見ながら読むことができるということだ。口絵を含めた図版の充実ぶりとその適切さには頭が下がる。そのあたりに一切ごまかしがない。全ての解説が実際の図版で確かめられるので、その都度何を言っているのか視覚で確認できるし、意味がわからないまま迷子になることもない。本当に読者にはありがたい配慮だ。最近そういう配慮の欠けた本を何冊か読んだこともあり、その点のすばらしさが特に印象的だった。著者はこの作品を3部作の3冊目と位置づけているように思われるが、第4作、第5作も読みたいと思う。(「キリストの身体」岡田温司、中公新書)
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カール・マルデン 帽子
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デューク・エリントン 球場シート ジャズ・ミュージシャン
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ジョン・マイヤー デザイナー サイン X-MEN
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虎と月 柳広司
昨年の「ジョーカーゲーム」で一躍脚光を浴びた作者のミステリーYA・シリーズの中の作品。「ジョーカー…」の最大の魅力である虚無的な雰囲気と「ミステリーYA」のコンセプトが融合したような作品を期待したが、結果は、気軽に読めて、若者向けの教訓が少し入っているという完全にミステリーYA!向けの作品であった。学校の教科書に載っている「山月記」をベースにして面白い物語を作り出しているところなどは作者の器用なところが十分にでているが、それだけといってしまえばそれだけだ。しかも本書は今はやりの厚手の紙を使っており、通常400ページ以上でもおかしくない厚さの本なのに実際は250ページしかない。ての感触では厚さが倍近くある神を使っているのではないか。こうした厚い紙が流行っているのは、活字離れの若者に「厚い本を読破した」という満足感をもってもらうようにという意図があると聞いたことがあるが、それにしても、あまりに厚すぎて、1枚めくる毎に2枚めくってしまったのではないかと不安になってしまうというのは、やり過ぎではないかと思う。(「虎と月」柳広司、理論社)
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ジョン・クック ウェア GOLF
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バチカン 秦野るり子
イスラム関連の本を3冊続けて読んだ後に本書を読んだので、立場が違うと歴史に関する記述がこうも違うものかと不思議な気持ちになった。本書の最大の眼目は、教皇を中心とするバチカンがどの様に今の地位を確立していったのかであるが、それを記述するなかでキリスト教全体の歴史が俯瞰できるようになっているのがミソだ。「テンプル騎士団」が何故「聖遺物」関連の謎に良く出てくるのかなど、本書で初めて判った内容も多かった。また本書では、ところどころに著者が行なった取材・インタビューなどの実体験が織り込まれていることも特徴だ。そうしたなかでは、特に今まで全く知らなかった「エクソシスト」へのインタビューなどが興味深かった。(「バチカン」秦野るり子、中公新書)
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ストイコビッチ クラブリーダー サッカー
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フランシス・ド・ラトゥール サイン ハリーポッター
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ショーン・ヴァン・アレン サイン NHL
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ローレン・シュラー・ドナー プロデューサー サイン X-MEN
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イスラムの怒り 内藤正典
序章のタイトルが「なぜジタンは2006年ワールドカップで頭突きをしたのか?」とある。これを見て、何が何でも読まなければと思った。この一言で本書を読んだ人も多いのではないか。あの衝撃的な事件には誰もが驚き、未だによくわからない謎として胸にわだかまりを抱いたままだったような気がする。これに対して著者は、彼を挑発した選手が何を言い、彼が何に怒ったのか、全ては自明であり、多くのイスラム教徒には謎でも何でもなかったと言い切る。作者のこの点に関する予想はおそらく正しいのだろう。このように本書で説き起こされるイスラム論は目から鱗の感じがするものばかりだ。何か(例えば信仰)を守るのに、人任せにするか、自分から行動を起こすか、そのどちらの道が正しいのかはケースバイケースだろう。イスラムは自分から行動を起こすことの大切さ、しかも他者のために行うことの尊さを説く。いわゆる「ジハード=聖戦」とはそうした「信仰を守ること」そのものであり、それを他者のために自分が率先してやらなければいけない、というのがイスラムなのだという。我々は、悪人を見たら自分で捕らえたり罰したりせず、誰か(たとえば警察)がきっと捕まえてくれるだろう、その後で裁判で裁判官が罰してくれるだろうと思う。それが理性というものだと教えられる。但しそうした考え方が万能かと言えばそうではないかもしれない。自分の責任で自分が危険を冒して自分から何かを守るために行動する、そうしたイスラムの考え方も、ことが信仰に関するものである場合には間違いといえないような気がする。しかも、イスラムの教えはかなり禁欲的であり、それを守ろうとすると非常にまじめな人間になる。世界から「テロリストの仲間」と見られて差別を受けるイスラム教徒が道を踏み外さないよう「差別されてもくじけずにまじめに生きなさい」と教えることは、イスラムのまじめな教えを説くことであり、そうしてまじめな人間になればなるほど、他者のために自己犠牲をいとわない「ジハード」の戦士が再生産されていくという。そうしたメカニズムも初めて知った。それから、砂漠の民→厳しい自然→厳しい掟→残虐な人間性→イスラムという連想は、ずいぶん最近になって西欧のキリスト教徒が植え付けた間違ったイメージだという。最初に相手に敵意を持ったのはキリスト教の方で、決してイスラムの方ではないという。また、因果応報、全てのことには原因と結果があるという考え方について、「神の意志が全て」と考えるイスラムの人には、我々と違う独特の感覚があるのだという。これらのことが十分な説得力を持ってかかれた本書は、非常に多くの点で考えさせられる本である。(「イスラムの怒り」内藤正典、集英社親書)
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レボリューションNO.3 金城一紀
金城一紀の作品はどれも素晴らしい。社会に対してある種の怒りを持ちつつも優しさを持って生きる人々を優しく見つめる目が独特だ。私が読むようなあまり難解でない文芸作品のシーンは現在圧倒的に女性優位の世界だ。そうしたなかでひとり気を吐いているのが金城一紀だ。舞城王太郎、乙一などは世界観には共通点があるようにも思われるが、なんといってもジャンルが違う。町田康のような内向的な文学性には共通点があるかもしれないが、文章のスタイルも違うし、金城には町田のような土着のにおいがない。
本書は、最後の「異教徒たちの踊り」がややありきたりで残念だったが、それでも面白い展開にぐいぐい引き込まれてしまったし、それ以外の2作はさすが金城と思わせる優しく美しい作品だ。10~11話のエピソードが必要なTVドラマににはしにくいかもしれないが、物語の設定はTV向けだ。2時間の単発ドラマにでもすれば面白いだろう。(「レボリューションNO.3」金城一紀、角川文庫)
本書は、最後の「異教徒たちの踊り」がややありきたりで残念だったが、それでも面白い展開にぐいぐい引き込まれてしまったし、それ以外の2作はさすが金城と思わせる優しく美しい作品だ。10~11話のエピソードが必要なTVドラマににはしにくいかもしれないが、物語の設定はTV向けだ。2時間の単発ドラマにでもすれば面白いだろう。(「レボリューションNO.3」金城一紀、角川文庫)
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