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レボリューションNO.3 金城一紀

金城一紀の作品はどれも素晴らしい。社会に対してある種の怒りを持ちつつも優しさを持って生きる人々を優しく見つめる目が独特だ。私が読むようなあまり難解でない文芸作品のシーンは現在圧倒的に女性優位の世界だ。そうしたなかでひとり気を吐いているのが金城一紀だ。舞城王太郎、乙一などは世界観には共通点があるようにも思われるが、なんといってもジャンルが違う。町田康のような内向的な文学性には共通点があるかもしれないが、文章のスタイルも違うし、金城には町田のような土着のにおいがない。
本書は、最後の「異教徒たちの踊り」がややありきたりで残念だったが、それでも面白い展開にぐいぐい引き込まれてしまったし、それ以外の2作はさすが金城と思わせる優しく美しい作品だ。10~11話のエピソードが必要なTVドラマににはしにくいかもしれないが、物語の設定はTV向けだ。2時間の単発ドラマにでもすれば面白いだろう。(「レボリューションNO.3」金城一紀、角川文庫)
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