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造花の蜜(上・下) 連城三紀彦

2年ほど前に話題になったミステリーだが、単行本で読む前に早くも文庫になってしまった。最近は文庫化が本当に早い気がする。本書の謳い文句は「誘拐ミステリーの最高傑作」だ。誘拐ミステリーの名作といえば同じ作者の「人間動物園」がすぐに頭に浮かぶ。即ち本書の謳い文句は「人間動物園をしのぐ傑作だ」と言っているのに等しい。これは連城ファンを意識したうまい謳い文句だ。それにしても連城のミステリーは相変わらずアクロバティックだ。1つの事件に2重3重の意味があり、最後の章では、そういうことだったのかと、思わず唸ってしまった。少し話題になった小説はすぐにドラマ化されるのが最近の風潮だが、この作品は、こうした風潮をあざ笑うかのような内容だ。この作品を、作品のよさを残したままドラマ化するのは至難の業だろう。本書の解説を脚本家に書かせた編集者のセンスの良さにも脱帽だ。(「造花の蜜(上・下) 連城三紀彦、ハルキ文庫)
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松井秀喜 T206 MLB

T206シリーズ(昔のT206というカードのデザインと名前を継承したシリーズ)の昨年製造されたもののなかから見付けた松井秀喜選手のカード。デザイン自体は特に珍しいものではないが、製造枚数が少ないオリジナルサイズ(ミニサイズ)で、裏面のデザインが他と違う限定99枚限定版ということで、若干プレミアムがついている。また良く見ると裏面に1/99と刻印されている。これはコレクターの間では「、ファーストナンバー」と呼ばれるもので、これにも多少プレミアムがつくようだ。裏面が違うだけなので、普通のコレクターにとってはあまり意味はないが、松井選手のものならば何でも集めたいというハードなコレクターにはそれなりの価値があるものと言ってよいだろう。オリジナルのT206では、現存する枚数や製造された枚数が裏面のデザインによって大きく異なるので、オリジナルのT206のコレクターは、裏面のデザインを重視する。そのような集め方を踏襲してもらうように、あるいはそうした集め方の楽しさを知ってもらうようにということで、製造会社は、裏面のデザインがいろいろ違うバージョンを作るという工夫をしている。

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ケビン・マクナルティ サイン ロイ スーパーナチュラル

TVドラマ「スーパーナチュラル」でロイ役を演じたケビン・マクナルティのサイン。SFもののドラマや映画には必ずと言って良いほど登場する悪役の大御所スターだ。2000年以降の出演作だけを列記しても、「バトルスター・ギャラクティカ」「カイルXY」「スターゲート・アトランティス」「4400」「ファンタスティックフォー」「デッドゾーン」「ヤング・スーパーマン」「アンドロメダ」「ダーク・エンジェル」「アウターリミッツ」「ミレニアム」と、ほとんどの作品を総なめにしているような感じだ。

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放課後探偵団 梓崎優他

創元社からデビューした新人ミステリー作家が書き下ろした「学校」を舞台にしたミステリーのアンソロジー。その趣向が面白く、各短編の後に作者の略歴や作品一覧が載っているのも親切で有り難い。この本で読んだ短編をきっかけに、その作者の本を読んでみたくなるということも少なくないはずだ、ミステリーの賞を取った新人作家については、受賞後の次の作品が大切だということで、力を入れて書いていることが伝わってくるので読む方にとっても良い企画だし、作家にとってもこうした発表の場があるというのは有り難い企画だろう。本当に面白い企画で、出版界の低迷を打破したいという編集者の思いが伝わってくる。こうした企画の場合、作品の出来にばらつきがでるのはやむを得ないことだが、本書の場合も、力が入りすぎて空回りしてしまっているような作品もあれば、堂々とした大家の風格をすでに備えているようなすごい作品もある。特に、最後に収められている梓崎優の「スプリング・ハズ・カム」は、辛口書評家が満点をつけて絶賛している作品だが、本当に味わい深い傑作だと思う。最後まで読んだ後、文字通り、もう一度読み直してしまった。(「放課後探偵団」 他、創元推理文庫)
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酔って記憶をなくします 石原たきび

Mixiのコミュニティサイトに投稿された酔っ払って記憶をなくした失敗談、武勇伝が200近く収められているだけの本。「だけ」といっても、これだけ集まると、集合の力を発揮して、何かを訴えているんじゃないかと思ってしまうほどのパワーを感じる。

私は、もっぱら酔っ払いを介護する側の人間だ。私も、学生時代に酔っ払って、毛布を持って友達の家の屋根に登り、家の人に救助されたことがある。その後、反省して、もっぱら酔っ払いを介護する側の人間となった。介護する側の人間としては、こうした酔っ払って記憶をなくした話を楽しく語る人間の明るさが羨ましい。私のお気に入りは、「酔っ払って扇風機に説教」「朝起きたら口の中に食べかけのおにぎり」「明け方、何もないところでバスを待つ」など。いずれも「介護側の人間」に迷惑をかけていない話ばかりだ。(「酔って記憶をなくします」 石原たきび、新潮文庫)

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