書評、その他
Future Watch 書評、その他
枕元に靴 北大路公子
北海道から取り寄せた著者の本が届いたので、早速読んでみた。本書は、著者が日記ブログとして書いた文章をまとめたものとのことだが、ブログという言葉もあまり一般的でなかった当時から、知る人ぞ知る人気ブログだったらしい。当時のことは詳しく知らないが、PCの向こうの顔の見えない読者を相手に、著者がここまで練られた文章を書きつづっていく作業を続けていたというのは驚異的なことのように思われる。こうした著者のような人がいたからこそ、ブログというものが今のような隆盛を見せ、私自身もこうしてブログという媒体で文章を書いているのだと思うと、何とも感慨深いものがある。内容としては、文章の面白さと妄想の突飛さは、この当時から健在だったということが確認できた。著者の本で未読はあと1冊。(「枕元に靴」 北大路公子、寿郎社)
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教場 長岡弘樹
前に読んだ著者の2作品が非常に面白かったので、期待をして読んでみた。前の2作品とはかなり趣が違う、警察学校の内幕もののような連作集だが、その内容の過激さに驚かされてしまった。本当にこのようなことが起こっているとは信じがたいが、こうした過酷な環境に耐え抜いた人たちが警察官になっているとしたら、警察官という職業とは何と大変なことだろうと考えてしまう。この作品を読むと、一見警察という組織の異様さを暴露しているようだが、逆にここまでして警察官になった人々を信頼しなければ何を信頼するのか、という気持ちになるし、作者が本当に言いたいのは、警察官という仕事の過酷さと崇高さ、日々の暮らしを守ってくれている警察官に対して、我々は尊敬と敬意をもっと払わなければいけない、ということなのではないかと思う。(「教場」 長岡弘樹、小学館)
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