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大人のいない国 内田樹・鷲田清一

本書は、戦後日本について、「成熟していない人ばかりでも統治していけるシステムを高度に発達させた国」という逆説的な定義付けを行い、そこから出発して、クレーマー、自己責任論の蔓延、勝ち組負け組という単純化された価値観といった、現代の日本社会の諸相を見事に分析していく。色々な場面で見かけるちょっとした違和感や不快感に横たわる、日本社会のかなり深い病巣を抉り出してくれているが、自分自身にも身の覚えのある指摘に耳が痛い半面、自分自身の成熟とは何かについて考えさせられる本だ。(「大人のいない国」 内田樹・鷲田清一、文春文庫)

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