3月10日付、読売報道では、戦後70年首相談話に関する有識者懇談会で座長代理を務める北岡伸一・国際大学長は9日、東京都内でのシンポジウムで先の大戦に触れ、「悪い戦争をして、たくさんの中国人を殺して誠に申し訳ないということは日本の歴史研究者に聞けば99%がそう言う。私は安倍首相に『日本は侵略した』と言ってほしい、と述べた。
彼は、その著書(『政党から軍部へ』中央公論新社)でも、南京事件を「相当大量の捕虜の処刑、民間人の殺傷、強姦等があったのは否定できないように思われる。・・・4万人でも1万6千人でも、・・・大参事・大不祥事であることも、あらためていうまでもないだろう」と記している。
しかし、一方で、南京の面積は世田谷区よりも小さく鎌倉市と同じくらい。この狭い地区に10万人を超えるシナ人が虐殺されていれば、一人ぐらい「虐殺の現場」を見たというジャーナリストや文学者が居てもいいはずだが、誰も報告していない。・・・『ニューヨークタイムズ』やアメリカの地方紙には「大虐殺があった」と伝える記事もあるが、その内容は何十万という数字になるものではない、という人もいる。
一説には40万人というのもあるようだが、事の本質は日本の侵略行為であり、その内容であろう。ナチのアウシュビッツを引き合いに出して、どちらが残虐かと比較する者がいたり、大空襲や原子爆弾の投下の方が大虐殺だと言う者もいる。他者の行為を批判する前に、まず、自分たちの國の過去を見つめてほしいものだ。北岡氏の言葉は歴史研究者として当然の見方であるが、それがニュースになるということに、この国の危うさが見てとれる。