玄冬時代

日常の中で思いつくことを気の向くままに書いてみました。

近現代史の欠落

2019-04-02 21:45:20 | 近現代史

4 歴史家の忖度

『昭和天皇独白録』には、巻末に歴史家たちの座談会が載っている。

秦郁彦は「この記録は東京裁判対策のために作成されたのではないか。マッカーサー司令部に提出するためのものじゃないかと思う。英文もあるかもしれない」と言った。

伊藤隆「考えられない」児島襄「疑問だ」半藤一利は「提出しないまでも…寺崎は局外者として確認したのではないか」と返した。

そして、伊藤は「これは楽しく読んだ方が宜しい、詮索しないで」と云った。また、伊藤は「英文が出てきたらカブトを脱ぎます」(笑)児島は「せいぜい秦さんに探してもらいましょう」(笑)ともいう。

H・ビックスによれば、「天皇の口述記録から重要部分を抜き出し、英訳したうえで、要約書を作り、フェラーズ准将に提供した。…マッカーサーが読んでいる可能性は高い」*と書いている。

結論から言うと、英訳は提出されていたのである。戦前生まれの大歴史家たちは、我々に何を教える気なのだろうか。

【*出典:ハーバート・ビックス『昭和天皇(下)』講談社学術文庫2006289頁】

昭和天皇(下) (講談社学術文庫)

 

コメント (1)
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