キキ便り

アメリカ便り、教員・研究者生活、シンプルライフ、自閉症児子育てなど

息子の仕事が正式に決まる

2019-06-20 13:22:53 | 自閉症アメリカ教育事情

これも、前回の記事の続き。

5月にオファーをもらった防衛関係の企業。その後、アメリカ政府によるセキュリティー・クリアランス秘密にすべき情報を扱う職員に対して、その適格性を確認し、その資格を与える)にパスするための資料を提供。

資料には、非常に細かく詳しく、これまでの犯罪歴、仕事などの経歴、海外への渡航歴などについての情報を書き、友人、家族、雇用主、アパートの管理人、近所の人などの連絡先も必要だったらしい。

息子の場合は時間がかかり、すぐには中間セキュリティー・クリアランスをもらえなかったが、特に誰のところにも調査の連絡があったわけではなかったので、おそらくそんなに問題はなかったのだろう。しかし待っている側にとっては、ストレスである。息子の場合、生まれたのは日本。日本で短期留学をしたり、ついこの前まで二重国籍だったのが、遅延の理由だったのかもしれないが、よくわからない。

中間セキュリティー・クリアランスをクリアした時点で、仕事の開始日を決めることになった。初出勤は、7月8日。あと2週間半である。ちなみに、最終的にセキュリティー・クリアランスをクリアするためには、もうしばらく時間がかかるらしい。

ウィスコンシン州ですでに8カ月のインターンを経験済みなので、社会に出るのは初めてではない。しかし、これで親元を離れると思うと、嬉しいような寂しいような複雑な気持ちだ。

しかし、息子は確実に自立に向かって成長している。次のようなことだ。

一つ目は、自分の自閉症を受け入れ、改善、成長していこうとする心意気だ。

昨日、車の中で息子に電話がかかり、電話先は息子の勤め先の近くのABA(応用行動分析)をやっているセンター。少しでも、自閉症者である自分の行動のマイナス面を改善しようと、自分で調べ、ABAに行きついたらしい。自分で電話し、プログラムの概要を聞いて情報収集しているらしい。

5歳の頃、同じく応用行動分析に基づいたDiscrete trial trainingを行っているセンターで、療育を受けたことがあったため、そのことを伝え、ABAよりも社会性スキルトレーニングを中心にやっているセンターが良いのではないかと伝えるが、私自身、成人のABAプログラムについてはあまり知識がないので、また調べてみようと思う。しかし、決めるのは息子だ。

二つ目は、精神面での安定。

ADHDや不安障害を和らげる薬、睡眠薬などを服用し、認知行動療法に週一度通っている。その効果だけでなく、息子の加齢に伴った成熟とも合わさって、以前のようにパニックを起こしたり、不安を訴えることが殆どなくなった。精神科医やカウンセリングのアポも、自分で管理しているため、今後独立しても、同じようにやっていけるのではないかと期待する。

このような良い面だけではなく、ブログに書けないような心配ごとも時々あるが、自閉症を抱えた息子が社会人として一歩を踏み出してくれるのは、大きな奇跡だ。

 

 

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息子、企業からオファーをもらう

2019-05-12 22:09:11 | 自閉症アメリカ教育事情

この記事も、前回の続き。https://blog.goo.ne.jp/yokomam/e/446581a7871093dc3d64bf33de25053e

ニューヨークの会社から本面接の日程が決まり、おそらくニューヨークのこのリサイクリングの会社に決まるのではないかと思っていた最中、L会社からオファーが来た。

前回も書いたが、面接の最後に「君はindustrial engineer (産業エンジニア)とデータアナリストのどちらの仕事がしたいのか」と聞かれ、息子は迷ったあげく「データアナリスト」と答えた会社である。

これでもうドアは閉ざされたと思っていたが、そうではなかったらしい。連絡がすぐ来なかったので、もしかして企業が採用を希望していた学生がオファーを断り、そのポジションが空いたから採用してもらえることに決まったのかもしれないが、それにしても本当に、本当に良かった。

この企業は、国から委託で軍用機を作っていることなどもあることから、バックグラウンドチェックなどはかなり他の企業より厳しかったようだが(息子は日本で生まれているので)、お給料などは初任給とは思えないほどの金額がオファーレターに書いてあった。また一日10時間勤務すれば、その次の週は、3日間休めるなど、フレキシブルな勤務が可能らしい。

息子だけでなく、同じ学部のクラスメートもかなり採用されているようで、それはそれで心強いのかもしれない。

しかし万が一のことを考え、息子は予定通りニューヨークの会社への面接にも出かけることにした。結局のところ、お給料や住む町などよりも、どういう仕事を任され、どういう人が上司になるのか、将来性はあるのか、などを含めて、息子が最終的に決めるのではないかと思う。息子の長所を伸ばし、育ててくれるような会社であればと願うばかりである。

明日は、息子の期末試験の最終日。そして土曜日が卒業式。

Honors Collegeを卒業するので、メダリオン・セレモニーが予定されているらしいが、ニューヨークの面接を控えているので、出席を見合わせることにする。

「大学最後の試験だね」と言うと、「いや、そうじゃないと思う。ボクは大学院に行きたい」との返事。お給料の一部を貯金して、ぜひ希望の大学院で勉強してくれたらと思う。最近では、勤務しながら大学院を通う人が増えてきたようだし、企業によってはその資金を負担してくれる場合もあるらしい。

とりあえずのゴールは、自分の専門を生かせる企業での就職。夢まであと一歩である。

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就職活動に関する本人の努力については何度かブログに書いたが、親にとっても大変な道のりだった。サポートしてくれる機関がアメリカとは言え少ないため、結局は親の仕事になってしまう。これについては、別ブログで。

 

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息子の就職活動―その後

2019-04-26 17:04:53 | 自閉症アメリカ教育事情

前回の続き。

大学卒業を2週間後に控え、就職がまだ決まっていない息子の報告。

今週は、いくつか嬉しいニュースと残念なニュースがあった。

去年の秋に就職面接に出かけ、採用がもらえなかった大手のL会社。ところが、早期キャリア採用担当者から突如Emailが来て、電話面接したいとの連絡。

採用責任者との電話面接では、息子の興味関心がデータアナリストの方向に向いていることが相手側に伝わったらしく、最後に「君はindustrial engineer (産業エンジニア)とデータアナリストのどちらの仕事がしたいのか」と聞かれ、息子は迷ったあげく「データアナリスト」と答えたらしい。採用側は、「正直に言ってくれてありがとう」という受け答えだったらしいが、このポジションはエンジニアだったため、おそらくもう採用してもらえないのではないかと思う。

次はロスにあるメディア関係の会社。最初は、息子の履歴書を見て、すぐ電話面接したいと相手側は非常に乗り気だったが、この仕事に必要なある特別なスキル(おそらくデータを分析するプログラム処理)をまだ持っていないため、この会社も採用が難しいという結果。

最後は、テネシーに本社がある会社。支社や工場は、ニューヨーク、インディアナ、カナダ、ハンガリーといろいろあるらしい。電話面接で、採用責任者は息子のことがとっても気に入ったらしく、ニューヨークへ本面接に来てほしいとその場で言われたらしい。息子は期末試験などで、今超忙しいため来月半ばに行くことになる。ニューヨークのさらに北の小さな町。昨日は、その責任者からのメールで、息子が提示した日程について「これはパーフェクトなタイミングだ。この日は社長も工場を見に来るのでぜひ会ってほしい」という思わぬ知らせ。しかも、社長と3人で食事をするらしい。

 

しかし就職が決まるまで、まだ気が抜けない。もし採用になっても、息子のことをもしかして過大評価しすぎじゃないか、とか本面接で落胆させてしまうのではないかと、心配してしまう。

ゆるやかなストレスが定期的に続き、すっきりした睡眠がとれない毎日が続く。

 

 

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就職活動で苦労する大学卒業を控えた息子

2019-04-18 22:34:21 | 自閉症アメリカ教育事情

ドラマや小説などでよくありそうな、これでもかとトライアル(試練)が続く筋書き。

今の息子を見ていると、まさにそんな人生だ。そしてたまに嬉しいニュースが入ってくる。次の日はどうなるのか、予測できない毎日だ。

昨日の朝7時、息子から沈んだ声で電話がかかってくる。

先日、ヒューストンで本面接までたどりつけた会社から、「昨日の会議で、会社のプロジェクトの予算が大幅に遅れるという報告があって、この夏、新社員を新規プロジェクトに向けて採用することができなくなったんだ。君はとっても優秀で、ボクのプロジェクトにとっても、会社にとってもふさわしい人材だと思っていただけに、本当に残念に思っている」といったような内容のメールが来たらしい。不採用になったわけではなく、予算がつくようになれば、採用の可能性があるということもほのめかすようなメールだったが、息子にとってはショック。

この会社を含めて、今学期は300職以上応募したらしい(応募した会社の数は不明)。先学期は、本面接までたどりついた会社(会社が飛行機や宿泊代などを負担)が二社。去年の夏より、就職活動だけでも、毎週ものすごい時間を費やしている息子。大学の授業をフルタイムで受講し、週二コマ授業を教え、大学のチューターのバイトをし、ボランティアなどもしている息子は超多忙だ。

今年になってからは、息子のキャンパスにリクルートに来たNSA(国家諜報機関)から内定(provisional offer)をもらったが、それだけで決まるわけではないらしい。その後この組織の4、5のポジションに応募したが、今のところ二つだめだったらしい。

今回のヒューストンの面接では、自分の自閉症を開示し、その前日にヒューストンで行われた「自閉症者の就労をテーマ」にしたセミナーに参加して学んだこと、特に自閉症者を採用するメリット(Neurodiversityなど)について、会社側に説明したらしい。相手も息子の話に納得した様子で、今度はもしかして採用のニュースがもらえるのではと、私たちも期待していた。

このニュースで皆落ち込んでいたところ、午後、次の暗いニュースが入ってくる。息子が大学の近くに置いた自転車が盗まれたらしい。鍵をかけておいたらしいが、誰かがうまく鍵を外したのか、息子ののかけ方が悪かったのか。車のない息子は、しばらくは歩いて通学。

その夜、授業を教え終わった息子から、また落ち込んだ声の電話がかかる。授業には3人しか学生がこなかったそうで、しかも「ボクは、お金をもらうために教えているだけで、義務的にやっているだけで、こんなボクに教えてもらう学生に気の毒だ」というようなことをこぼす。確かにそんな面もあるだろうが、深く考えずに今日は休みなさいと伝える。

いろいろなことがあっても、毎日ものすごく忙しいので、落ち込む時間がないのが不幸中の幸いだ。

 

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NCAA男子バスケットボール、決勝で惜しくも負ける

2019-04-13 11:05:26 | 自閉症アメリカ教育事情

月曜日に行われた全米大学バスケットボール、チャンピオンを決める決勝戦。

私たちは夫の同僚に招かれて、彼の家の前庭のパティオに設定したプロジェクタースクリーンで観戦。

この方の奥様は、学会出張ということで不在でしたが、Fire Pit「焚き火台」(図のようなもの)を用意してくださり、様々な種類のウィンターをローストし、オニオンブレッドにはさんで夕食、ということでごちそうしてくださいました。

試合の時間延長になるまで、息子の大学のチームがやや勝利していたのですが、最後のシュートが決まらず結局延長戦へ。前回の試合に比べて、あまり調子が出ない様子で、結局負けてしまいました。

その後、バーで観戦していた息子から電話がかかり、「腹ががってしかたがない、うちのチームは弱すぎる。こんなことだったら、最初から負けるべきだった」とショックと失望を隠せない様子。

「ここまで進めたのは、すごいことじゃないか」と夫はいろいろいい聞かせましたが、聞き耳を持たない様子でした。

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これは、昔息子が5.6歳の頃、自分の思い通りや期待とは異なった状況になった場合、よく見られた癇癪と同じパターンです。ちょっと紹介するとこういうエピソードがありました(かなり簡略)

アイスキャンディーが一本しか冷蔵庫に残っていなかったので、「妹と半分っこしようね」というと、ものすごくパニックになり、お皿まで投げだしたので、父親が「半分を食べるか、全く食べないかのどちらか」だと言うとその選択にも納得できず、最後は妹が全部食べるはめに。そのことが人生の終わりくらいにショックだったらしく、「なんでなんだなんでなんだ不公平だ。ボクは一生全然デザートを食べちゃいけないんだ。昼も夜も絶対食べちゃいけないんだ。」と極端な対応。何を言っても聞く耳を持たず、最後はソファーのクッションを投げるはめに。落ち着かせるために自分の部屋に言うように命じると、今度は部屋からたくさんの玩具をもってきて、「もうボクはおもちゃも持っていちゃいけないんだ。全部捨てる」と泣きながらの対応。

また自閉症児のこういう癇癪については、別の記事で書いてみたいと思います。

 

 

 


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息子の大学、NCAA男子バスケットボール、決勝戦進出

2019-04-08 16:00:25 | 自閉症アメリカ教育事情

前回記事にしたNCAA男子バスケットボール大会

二日前土曜日は息子の大学の準決勝。強敵ミシガン大学を相手に、10ポイントリードしての勝利。

息子の大学はベスト4に入ったのも、初めて。決勝戦に進むのも、もちろん初めてです。

準決勝で勝利した数分後、バーで友達と観戦している息子に電話してみました。

「信じられない。僕たち、勝ったんだ。本当にうれしい~」とものすごく興奮した声(もしかして、息子、うれし泣き?)。

息子にとっては、もしかして人生で一番嬉しかった出来事?

自閉症者である息子にとっては、「仲間意識」「帰属意識」が芽生えたのは、最近のことです。

息子の成長、母親として微笑ましく思いました。

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ところがこの勝利がもたらしたのが、地元のバスケットボールチームファンの暴動。お祭り騒ぎが行き過ぎて、一部の群衆が車をひっくり返したり、電動スクーターやソファーの燃やして火災を起こし、とうとう警察とのいざこざになり、催眠ガスが使われたそうです。

息子は、かなり近くにいたそうですが、大丈夫だったとか。今夜の決勝戦後は何も起こらないように祈るばかりです。

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ミネソタで行われるこの試合、応援や観戦に出かけた学生たちを配慮し、とうとう大学は月曜日の夕方5時からは一切休講(試合は夜の7時半)。明日の火曜日は一日休校となりました。図書館も閉鎖されるようです。

バスケットチームのベスト4、チャンピオン戦などのロゴが入ったシャツやグッズが直後に販売され、ものすごい列をついてみんな購入しているようです。Facebookのプロファイルに、自分の顔写真が入ったチームのロゴを使う人が何人もいました。

なぜアメリカの大学では、ここまでスポーツにお金と時間、エネルギーを注ぐのでしょうか。

いろいろ理由はあるかと思いますが、夫いわく、スポーツで全米上位(特に優勝、ベスト4進出)などということになれば、入学希望者が増え、卒業生からの寄付金が激増し、大学がますます繁栄するそうです。

アメリカの学校における(高校なども含めて)課外活動であるスポーツの位置づけが、基本的に日本とは異なっているみたいですね!

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地元大学チームのエースであるJarrett Culverは、牧師の息子。その強い信仰心については、時々地元メディアでも取り上げられています。もう一人のMatt Mooneyもインタビューで、ヨシュア記の「強くあれ。雄々しくあれ」で始まる聖句を引用していました。クリスチャンである私たちにとっては、こういう証にはとっても励まされています。

今日の対抗相手であるバージニア大学。ヘッドコーチは、以前私たちが住んでいた州で通っていた教会の会員でした。その後、バージニア大学にリクルートされたようです。

ちょっぴり複雑な気持ちですが、息子の大学生活の最後の思い出に、優勝してもらえたらホントに嬉しいです~。

 

 

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NCAAトーナメントのベスト4入りとキムチのフレンチフライ

2019-03-31 19:10:32 | 自閉症アメリカ教育事情

落胆続きの一週間でしたが、週末は、Excitingなことがありました。

息子と夫が所属する大学、全米大学のバスケットボール大会(NCAAトーナメント)で初のベスト4入り。

もちろんTVでの鑑賞でしたが、両チームとも力はほぼ頭角なのか、接戦の試合でものすごくハラハラさせられました。

特に息子は、もし負けたらどうしようかと、不安のレベルがものすごーく高くなってましたが、夫がエールを送っている様子を見て、そしてだんだん試合に勝ちそうな気配が見えてきたので、笑顔になりました。

勝利が決まった瞬間は、3人でハイファイブ(High five)。

5月に卒業を控えた息子。自分が所属する大学の歴史的瞬間を見ることができたのは、とっても幸いでした。

その夜、息子はもうすでにバーでお祝いしている友達と合流したようです。

自閉症で友達がいない学校生活をずーっと過ごしてきた息子は、大学3,4年生になって、時々映画や飲みに行く(しかもバーをはしごする)友達ができたみたいで、親としても嬉しいです。

 

スポーツ観戦に合わせて作った料理、キムチのフレンチフライといなり寿司。

最近レストランでメニューをよく見かけるキムチのフレンチフライ。

このレシピは、手が込んでいたけど(夫が作ってくれました)、とっても美味しかった。

写真は、https://lexiscleankitchen.com/loaded-kimchi-fries/より転用。

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息子のティーチング―受講者激減

2019-02-18 18:29:58 | 自閉症アメリカ教育事情

1週間前、授業を終えた息子からパニックの電話がかかってくる (これまでの様子)。

その日は最初30人程の受講者がいたそうだが、途中で25人が教室から出て行ったらしく、最後には5人しか残らなかったらしい。参加している学生たちに全然うまく説明できず、悲惨な授業だったらしい。

同じ日、息子が苦手とするグループプロジェクトでも、グループのメンバーが全然何もやってくれずひどいプロジェクトを提出するはめになったということもあったことから、息子にとっては最悪の日。

電話での最初の一言が、「今から車に衝突して自殺する」だったので、びっくりしたが(息子の自殺宣言は今に始まったことではないが)、落ち込むこと続きのストレスフルな一日だったらしい。私たちがアドバイスしても、まったく建設的な会話ができる状態ではなかったので、ともかく電話を切る。

夫はそういう息子の対応を見て、かなり重いストレスで落ち込んでしまったが、10分後に今度はこちらから電話をかけてみると、レストランで夕食を食べている様子。今から死のうを思う人は、食事をすることはないだろうと思い、とりあえず安心。

次の日、電話では埒があかないので、Emailでアドバイス。スーパーバイザや先生に相談してみたらというような内容のことを書いたが、結局同じティーチング仲間と話をし、グループプロジェクトのメンバーの一人とも話ができたらしく、見通しが立ったらしい。

その次のティーチングは、受講者が5人ととっても少人数だったが、満足できる授業ができたらしく、報告をしてくれた時の声は明るかった。落ち込むのは早いが、立ち直るのも早い息子を頼もしく思う。

週二度の授業。夜の8時半に授業が終わるが、心配でその晩電話をかけてしまう親の私たちは過保護なのだろうか。あるいは自閉症者である息子に、そんなストレスになるようなことはやめなさい、と言った方がよかったのだろうかと思ったりする。受講している学生たちに申し訳なく思ったり、いやそんな風に思っては自閉症者に対する差別になると思ったり。まだよくわからない。

 

 

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息子のティーチング2日目

2019-01-30 21:39:23 | 自閉症アメリカ教育事情

自閉症の息子のティーチング、2日目の報告。

受講者が半分に減ってしまったそうで、かなり落ち込んでいたが、あまり自分を責めない方がいい、忙しくなって予定が合わない、とかいろいろな理由があるから、と助言。

しかし前回よりは、少しうまくいったようで、質問などの手も上がったらしい。うまく説明できなかった、とは言っていたが、これも慣れだと思う。

それにしても、ここ数日、事前準備にものすごく時間をかけたらしく(授業の問題づくりやプリント作成)、自分の宿題をする暇もないと息子はこぼす。完璧主義や思い込みのある息子にとっては、うまく手を抜くことが難しく、おそらくそれ程優先度の高くないことに、手間暇をかけているのだと想像する。そういう無理はやめた方がいいよ、と伝えても、親の言うことはなかなか聞いてくれない。息子を見ていて、自閉症者にとって、「効率よく働く」というのはなかなか難しい課題だと思う。

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しかしこれは、自閉症者だけの問題ではないのかもしれない。今日友達と話していると、彼女のご主人、大学の法学部の教授は今学期から新しく教える授業のために、ゴハンを食べる程もない程、毎日準備に時間をかけているらしい。普通テニアーの教授ならば、それ程授業に力を入れなくてもと部外者の私などは思ってしまうが、本人の情熱とコミットメントが、そのさせるのかもしれない。がんばり過ぎることも、本人の成長にとっては必要なのかもしれない。

困難を糧にして、いろいろなことを学んでほしい、と親は祈る気持ち。

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自閉症と大学ティーチングのバイト

2019-01-24 09:29:57 | 自閉症アメリカ教育事情

息子は、今学期で大学最後での予定。

大学2年生の頃から、大学に雇ってもらい、数学のTutoring(チューター)のバイトを週15時間。自閉症特有のコミュニケーションや対人関係の困難を抱えながら、どうにかこなしてきた。

息子の脳は早く回転するらしく、同じスピードで問題を解いていけない学生たちにイライラすることも多かったようだが、クビになることもなく、仕事を休むこともなく、何とか成し遂げた。

今学期からは、チューターのバイト以外に、Supplemental Instruction (難易度の高い講座のための補助講座)でリーダーとして教えることになった。「微分積分学II」か工学部専門の「動力学」のどちらのクラスを担当しようか最後まで迷いつつ、自分にとってはより教えやすい「微分積分学II」に決める。

しかし初日は、さんざんだったらしい。ものすごく落ち込んだ息子からが電話がかかってくる。参加人数10-20人くらいを見込んでいたが、60人もの学生が参加し、用意したプリントが足りず、コミュニケーションも難しかったらしい。

その晩、今日のセッションはどうだったかについて参加者からのフィードバックを得るために、息子はオンライン質問紙を作成。5段階のスケールで、自分のコミュニケーション、教授方法、教授内容などについて評価を求める質問紙を作ったが、私と夫は、ひとまず数週間様子を見てから、フィードバックを求めた方がよいのではとのアドバイス。評価が悪かった場合、自分のコミュニケーションや教え方を改善するためには、特に自閉症者の場合は時間がかかるため、それ程自分を追い詰めなくてもよいのではとの親心。それよりも、自由回答式で、このクラスに対する期待や要望があれば書いてほしい、といった質問紙の方が、今後の参考になるのではと伝える。

息子は近年、自分の自閉症の特性についてさらに理解を深めている様子(これについては、また別ブログで)。しかし、苦手な点に目を背けずに、それでもどうにかやってみたい、人並みあるいは人以上にやろうとする、そういうレジリアンスには感動する。


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タイマーロックつき容器で自己管理

2018-12-23 21:01:10 | 自閉症アメリカ教育事情

ゲームやインターネット、スマホ依存症だった息子。

本人いわく、ストレスの発散。特に自閉症であるがゆえに、社会生活を送る上でストレスに輪がかかる。

しかし、夜遅くまでゲームやインターネットに夢中になってしまい、朝食抜き、朝の大学の授業に遅刻すれすれという毎日。

睡眠不足は、効率を下げ、勉強もバイトもうまくいかず、さらに不安や抑うつになってしまうという悪循環

本人なりにいろいろと考えたらしく、タイマー鍵付きの容器を購入。

宿題し終わる時間を見積もって、容器に携帯電話やゲームコントローラーを入れてロック。

この容器は50ドル以上もするが、そうしてまで自分の悪習慣を改善したいと考えた息子に拍手を送る。

携帯電話やゲームコントローラーだけでなく、禁煙を試みている人はタバコ、ダイエットの人はお菓子を入れるなど、いろいろできるらしい。

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自閉症とグループ・プロジェクト、など

2018-12-17 16:56:44 | 自閉症アメリカ教育事情

以前も書いたことがあるが、自閉症児(者)にとって苦労が多いのが、グループ・プロジェクトの課題。

グループのメンバーとのコミュニケーション、自分の立ち位置や相手との距離の取り方、プロジェクトの進行が遅い場合のフラストレーション......

一人でやった方が絶対早い作業も、グループで行うと時間がかかるので、息子にとってはストレスの材料。

今回のメンバーは、あまり作業をしてくれる人がいなかったらしく、結局最後は息子一人でやり終えたらしい。

提出した後、ああすればよかった、こうすればよかったなど、後悔の念にとらわれたらしい。自分一人のプロジェクトならば教授にメールしてやり直しが可能かどうか確認することも可能だが、グループの皆の成績が関わっているとなると、独走することも難しい。

結局、このプロジェクトは「不可」だったらしく、結果的にこのクラスの成績が「C」になってしまったらしい。

ちなみに息子は来年の春に大学卒業を控え、これまではほぼオールA。「成績優秀」ということで、どうにか肯定的な自己概念を形成している息子にとっては、ちょっとした試験の失敗などはパニックの引き金になる。

試験の結果がよくないと自分で思いこんだ時には、「このクラスでの成績が不可になる=そうなると大学卒業できない=就職できない=ホームレスになってしまう=だから自殺する」というパニック電話が頻繁に私たちのところにかかってくる。

「C」を取ってしまったことで、天地がひっくり返るくらいパニックになるかと思ったが、意外と平静。今服用している抗うつ剤が効いているのかもしれない。

それにしてもいろいろなことが続き、子育てはまだまだ終わりそうもない。

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息子のコンピューターが盗まれる、などなど

2018-10-05 12:34:43 | 自閉症アメリカ教育事情

子ども二人が大学生になったとは言え、気がかりなことは絶えない。

昨日は、キャンパスの教室で、息子のバックパックが盗まれたらしい。

バックパックを置いて、上の階の自販機まで飲み物を買いに行ってしまったらしい。ちょっとした油断である。

カバンの中には、幸い教科書は入っていなかったらしいが、試験用紙2枚と自分のお金で購入した1000ドル程のコンピューターが入っていたらしい。コンピューターは2年前に購入したので、かなり古くはなっているものの、まだ十分使えるものだったので、ショックは大きい。

すぐ大学の警察に届けを出したらしいが、おそらく戻ってくることはないであろう。

息子はバックパックだけでなく、自宅の庭に鍵をかけ忘れた自転車を盗まれたこともある。この時は、犯人は裏庭のゲートから入り、自転車だけでなく、物置に置いてあったものが幾つか盗まれた。

自転車をなくした息子は、当面私の婦人用の白い自転車に乗って、大学に通った。本人にとっては苦い教訓である。

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その夜、息子は、リファービッシュされたコンピューターをオンラインで安く見つけたらしい。

残りの大学生活が7か月なので、それまでつなぎとして使うには十分ではないかと思う。

大学の図書館やコンピューターラボに置いてあるコンピューターは、学生であれば無料でいつでも使用できる。家やコーヒーショップで勉強する時に必要なコンピューターなら、どうにかなるのではないかと思う。

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関連した話であるが、昨日、私たちが以前住んでいた家の近所で強盗があったことをご近所サイト、Nextdoorで知る。

日中、覆面をした強盗が台所の窓をたたき割り、家財を盗んでいったらしい。それを目撃した近所の人が声をあげたので、車で逃げていったらしいが、その車も盗難車だったとか。今警察が指紋などで犯人捜しをしているらしい。

自分が一人で静かに家で仕事をしている時に、留守だと思い強盗がもし入ってきたらどのように対処したらよいのかと考える。武器を持っていれば、判断も違ってくるだろうが、経験がないので答えがでてこない。

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強盗なら命にかかわることは少ないが、銃事件ではそうはいかない。今朝は息子の通う大学の寮で、10月5日の午前11時に大学で銃撃事件を起こす、という落書きがトイレに書いてあったことがニュースとして流れた。警察などの調べて、おそらくいたずらということで大学閉鎖にはならなかったが、休校にした教員もいたようだ。幸いいたずらであったらしいが、私ならどうしたかと考える。

 

 

 

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息子の毎月1000ドルの貯金

2018-06-22 16:38:09 | 自閉症アメリカ教育事情

自閉症をもつ息子が、インターンシップを始めて半年近くになる。

いろいろ失敗やパニックもあったが、金銭感覚は見についたようだ。

毎月、お給料の中から、1000ドルを貯金させている。これは、お給料(天引き前)の約三分の一。住居費が750ドル程なので、残りが食費、交通費、交際費、ミニ旅行、あとは好きなコンピューター関係のものを時々購入しているらしい。医療費や携帯料金は、私たちが負担。洋服は全く買わないようだ。月一回の散髪のみ。

始めてこれだけ貯金できたということは、息子の自信になったかと思う。

半ば強制的に私のところにお給料日に送金させているが、そのことで無駄遣いできないという制約が良き方向に働いているのかもしれない。

食料品の買い物は、安売りをうまく利用しているようだ。できるだけ自炊をし、お昼も外食せずに、自転車でアパートに帰って軽く済ます。私とは違って、おやつなどは、殆ど買わないらしい(昔から間食のしない子どもだった)。時々、職場の仲間たちの飲み会に行ったり、一人で飲みに行ったりもするようだが、お金がかかる大都会ではないので、支出は抑えられる。

自立に向けて少しずつ指導してきたことが、役に立っているのは親として嬉しい。

 

 

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自閉症の息子、一人暮らし3か月目。

2018-04-17 16:33:39 | 自閉症アメリカ教育事情

先週末より4日間、ウィスコンシン州に住む息子を訪問。

息子は大学3年生だが、企業で1-8月まで8か月のインターンシップに参加。8月半ばに大学に戻り、秋学期と春学期を経て、卒業の予定。当初の予定では、3年半で卒業の予定だったが、インターンシップが入ったため4年間で卒業となり、タイミング的にもよかったのではないかと思う。

高機能自閉症とその他自閉症に併存しやすい疾患を抱えているため(ADHD, 不安障害など)、独立させるのは心配だった。息子が中学生の時、特別支援教育から504プラン(障害を持った児童生徒に対して、個別のニーズに応じた教育を行う計画)へ移行した時にも、病気を抱えていながら退院させてしまったような不安に襲われた。今回のインターンシップも複数の不安要素を抱えていた。

  1. 息子も私も、ウィスコンシン州に行ったことがない。私たちの家からは、飛行機を乗り継ぎ、レンタカーで2時間の距離である。移動に1日かかる。緊急を要するような事態が起こった時に、とんでいけない距離。
  2. フルタイムの仕事は、息子にとって初めてである。
  3. 一人暮らしは、息子にとって初めてである。料理、掃除、買い物、洗濯、ごみ捨てなど、日常生活に関わることは全て一人でやらなければならない。
  4. 精神疾患を抱えているため、調子が悪い時には非常に落ち込む。隣町まで行かないと精神科医がいないという町である。

このような状況だったので、サポート体制が大切だと思い、次の3つのことを行った。

 

  1. まず息子が引っ越しする前に、大学生を対象に宣教を行っているクリスチャンの団体のリーダーにEmailで連絡を取る。快くEmailの相談に応じてくれて、1月に息子の引っ越しを手伝った際、彼と大学生のインターン、私たち夫婦、息子の5人で顔合わせをし、それ以来、息子を教会やその他の大学生対象のミニストリーに誘ってくれている。それだけでなく、車のない息子のために、買い物に連れていってくれたり、テレビを貸してくれたり、イベントや町の情報などもシェアしてくれるので、息子にとっては友達に近い存在らしい。
  2. 上司への自閉症の開示である。息子は躊躇したが、自分の上司に自閉症のことを開示することによって、コミュニケーションがうまくいくのではないかとアドバイスする。上司はそのことを非常に暖かく受け止めてくださり、「話してくれてありがとう」と言ってくださったそうだ。
  3. 日々の息子との電話である。声のトーンで息子の精神状態が分かるのも家族だからこそで、アパートで独り暮らしする息子がなるべく孤立しないように、少々煙たがられても一日一度話すようにしている。

 

今回私たちの訪問に備えて、息子はガンバってアパートの部屋を掃除したようで、きちんと片付いている様子にびっくりした。コーヒーメーカーのフィルターが1月から変えてなかったり、トイレの掃除を一度もしていなかったりなど、少しアラも見つかったが、息子なりに考えて掃除したのだと思うとジーンとした。

自炊はしているものの、野菜や果物は殆ど食べてない様子だったので、滞在期間中サラダを大量に作り、COSTCOで冷凍のフローズンベリー、ミックスナッツ、エナジーバーなど購入。またコンブチャとグリーンスムージーも大量に息子のために作り、少しでもバランスのある食生活となるようにアドバイス。

息子なりに成長した姿に、夫も私も感動を覚えた滞在期間だった。

コメント (2)
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