たとえば、白人至上主義の具体例を挙げたPeggy Mcintosh著の「白人の特権」(White Privilege)という論文を授業で読ませるんですが、それを読んで気分を害した学生、よくぞ代弁してくれたと共感する学生、今まで気づかなかったと発見に至る学生、とクラスが大きく分かれます。
今学期教えているオンラインの学生たちは、20-50代と年齢に開きもあり、不思議なことに男子学生しかも退役軍人がかなり目立つので、移民である私はクラスが皆の現在のアメリカ経済や政治の不満のはけ口にならないようにと、今からドキドキしています。
付け加えておきますが、このダイバーシティは、全く私の専門分野と違う授業なのです。雇われた身としては、うちの学部のどんな授業でも教えなければならず、しかもこのダイバーシティをずっと担当してきた教官が定年退職してしまったので、私が後任者となってしまったのでした。
オンラインの学生たちのレポートを読むと、殆どがいわゆる低所得者で、大学を出ることにより、少しでもいい暮らしをしたいという夢を持っています。しかし、今のアメリカの経済状態では、中流家庭の家計がますます圧迫されるようになり、果たして卒業後に暮らし向きが変わるかというと意外とそうではないのかもしれません(勿論学生には、そんなかわいそうなことは言いません。)
大学卒業者という表向きの社会的地位は向上するでしょうが、政府の恩恵でもらっていた補助や奨学金が打ち切られた後、もし雇用が引き続き不安定なら職を得るのにも苦労するでしょう。特に皆が大学に行く時代になると、競争率が激しくなるでしょうし、だんだんステップアップしていってもかなりの額を税金でとられるので、生活は苦しいままかもしれません。特に、大学のローンを抱えていたらなおさらです。
オバマ大統領の一般教書演説の世論評価と学生のレポートを読みくらべながら、不安な気持ちになったのは、考えすぎなのでしょうか?