姫ちゃんと一緒に月組を見て来ました。
夢現無双
斎藤吉正という人は全く・・・いい作品を書いたかと思えば「金返せ」を作る。芝居に関しては作り方に進歩がないなと思います。そもそも自分が武蔵が好きだからって、ヅカファンの多くがあまり興味を持たないだろう武蔵を題材に書くかな。
「巌流」だって決していい作品ではなかったよ・・・ねえ どうしてもリベンジしたかったのかな。だとしたら作り方を考えようよ。
1幕18場はあまりに多すぎるのです。10場は切らないと。くるくる舞台が変わるのはショーでは楽しいけど芝居では混乱するっていい加減覚えて欲しいです。
そして主人公の宮本武蔵には全然魅力がない。キャラクターに魅力がなければ役者は演じようがないではありませんか。最初から最後までばたばた人を切っては倒れて誰か女性に介抱されてって。ヅカファンにとって武蔵が魅力的に見えないのは、お通を待たせすぎる所です。
正直、武蔵の人生においてお通ってそこまで重要な人なんでしょうか?吉川英治の話に出て来たからですか?小説では飛び飛びに出てきてもスパイスになるけど舞台では一向に進展せず、追いかけっこばかりしている武蔵とお通に飽きてしまうんですね。
そういえば海老蔵の「武蔵」もひどい視聴率でしたよねーー 男としては剣の道に一筋で魅力的に見え、憧れるかもしれないけど、女性から見るといつまでも何やってんねんってことになる。
一方の佐々木小次郎は舞台の上を右から左に通り抜けていくか、その反対か。ラストはあっけなく討たれて終わり。一体十字架をいくつ持っているの?小次郎がキリシタンだったとして、それと剣の道はどうかかわって来るの?迷いはないの?等々。
武蔵は、仏像作りの頃は極めた感がちょこっとあったけけど小次郎を斬ることで振り出しに返った感がありました。それってありですか?
武蔵と小次郎の二人が引き合う何かがああったとして、斬り合って振り出し。修行やり直しとかありえないよーー 永遠にすれ違ってた方が幸せだったじゃない。
トップスターがボロボロの服着て髪は結いっぱなし。一方の小次郎は着たきりすずめだけどいつもモテモテでキザって優しく。そんな小次郎がなんで武蔵に討たれたか、山場が全然わかんないっ
それと又八さんね。退屈な物語における一服の清涼剤のような立場だと思うんです。
しかしやっぱりコメディは得意じゃないというか、あそこまで二枚目なのにどこまでもドジっこをやらせることに、それを見ているこちらに息苦しさを感じてしまいました。
吉岡清十郎の人生こそ知りたいわ。ただ一度武蔵に敗れたばかり弟に乗っ取られて、若い後継ぎまで亡くして、放浪の旅?ここで武蔵に復讐を誓うとかだったらあり得るのになあ。
今回、一番得をしたのは吉野太夫の海乃美月ではないでしょうか?
大夫は本当に美しくて大人で、武蔵だろうが小次郎だろうがすぐに自分の手の平に乗せてしまう余裕が頼もしい。琵琶を弾く姿の神々しいったらありゃしませんでした。
このところ、宝塚ではベタな恋愛物を続けてやっていたから、たまには武蔵もいいんじゃないか?と思ったのかもしれないけど、珠城りょうには似合わなかったし、何よりも宝塚的には作れなかったってことです。もう二度と武蔵は題材にしないでね。
(確か武蔵と小次郎って一回りくらい歳が違っていたんじゃ・・・小次郎が巌流島で斬られた時はまだ10代だったのでは?)
クルンテープ
サワディ!
クルンテープってバンコクの正式名称の一部で本当はめちゃくちゃ長い名前なんですって。
微笑みの国タイ・バンコク・・・とはいうものの。それって30年くらい前の話よね。
タクシン派が失脚して、プラユットが首相になって以来、軍事政権が続き、「不敬罪」の乱発で罪のない人々が牢に繋がれるということが多々起きています。
前国王は国民に慕われていましたが、ワチュラロンコン王は正反対。頭おかしいんじゃないの?という程奇抜な事ばかりするし、王妃を次々廃してしまうし、女癖悪いし。タイに長らく住んでいなかったよね?背中に入れ墨、上半身裸でブラジャーして帰国した姿は最近のこと。
しかも即位式は外国人を招かないというやり方だったそうで、招くことが出来ない程ひどい状態なのではと思ってしまいます。
また、ごく最近、国王は王妃を娶りましたが40代のその女性は元軍人。いわば親衛隊のようなもの。ここらへんプラユットとどう繋がって恐怖政治を巻き起こしているのかと勘繰りたくなります。
今のタイはとても「微笑みの国」とは言えず、王室も敬愛されていないし、タクシン派が盛り返せばまた内乱が起きそうです。
だから複雑な気持ちでショーを見ていたんですよね。
特にエメラルド寺院のシーンなどは、「ビルマから奪ったエメラルド。でもこのエメラルドを持つ国は亡びる」というジンクスを思い出して「本当に滅びそう」って思ったりして。
最初、タカラヅカニュースなどで流れるショーの一部にびっくりして・・・あの衣装と被り物に。これは駄作なんじゃないか?と思いました。
初日から数日で曲の差し替えとかあったですしね。
でも、実際に見てみると中々楽しいショーで、にぎやかで平和的でお祭りのようです。
タイという国を表現する以上、あの被り物はどうしようもないんだろうと思うし、ごてごてしている衣装も仕方ないと思うけど、任田さんとか有村さんだったらもうちょっと品のいい衣装をつくったんじゃないかなと思いました。
それに振付が若央りさじゃ、せっかくいいシーンでも今一つばしっと決まらないなあと。
ヤンさん振付の美弥るりかさよならシーンで号泣しそうになった・・それだけが思い出でしょうか。もう一度見るので個々人の感想は次回に。