よし坊のあっちこっち

神出鬼没、中年オヤジ、いや、老年オヤジの何でも有りブログだ!

映画三昧ー勝新

2010年03月11日 | 映画
雷蔵とライバルだった勝新。歌舞伎には勝てない長唄界出身の悲哀、をもろに感じ、さぞかしライバル意識は凄かった事だろう。だからと言って、歌舞伎出身のお嬢、玉緒と結婚したわけでもあるまいが。

勝新も「不知火検校」の後、若干キャラクターを変えた「座頭市」がヒット、ブレークする事になるが、彼のシリーズ物では、他に「悪名」「兵隊やくざ」等がある。

よし坊が好きで、イチオシするのが、「兵隊やくざ」。これは面白かった。インテリ上等兵の田村高広演ずる有田と、喧嘩と女に目が無い勝新の大宮。このコンビがなんともいえない味を出していた。「悪名」の浅吉と清次のコンビも良いが、コンビの面白さから言うと、「兵隊やくざ」に軍配を上げたい。

調べてみたら、この映画で田村高広がブルーリボンの助演賞を取っている。この手の映画でブルーリボン賞を取るとは、演技が余程光っていたのだろう。

当時の映画界は、最高の賞がブルーリボン、玄人受けしたのが、キネマ旬報賞。その後「日本アカデミー賞」が設立されてから、主導権が移ってしまったが、今でも注目すべき賞だと思う。

映画三昧 -Invictus

2010年03月07日 | 映画
ラグビーと言えば、NZのオールブラックスが有名で、世界でも強いのは嘗ての女王陛下の国、イギリスであり、オーストラリア、その程度の知識しか持ち合わせていなかったが、南アがラグビーでは一等国である事は知らなかった。

モーガン・フリーマン主演の「Invictus」を観た。ラテン語で、英語の「Unconquered]が相当するらしい。獄中、決して不当な力に屈しなかったマンデラの精神的支柱が、イギリス人の詩から感得されたことを知る。

白人達の伝統的なラグビーチーム、Springboksをアパルトヘイト崩壊後の人種差別を超えた国家のUnityに一役買わせ、95年のラグビー・ワールドカップで見事に初出場初優勝させる大バクチは、観客を唸らせる。

あの、「Cry Freedom」で描かれたスティーブン・ビコのように、多くの人種差別レジスタンスが拷問、暗殺の非業の死を遂げる中で、27年間の獄中生活を生き延びたたのは、時代の要請だったのか。ひとつには、彼がガンジーの「非暴力主義によるレジスタンス」の信奉者であった事かも知れぬ。

映画三昧ー田宮二郎

2010年02月24日 | 映画
田宮二郎は惜しい俳優の一人だった。彼の場合、強い自我が災いして、永田雅一の逆鱗に触れ、男では五社協定の犠牲者第一号のはずで、ここから彼の下り坂(もちろん、テレビでの白シリーズのヒットはあったが)が始まり、あのような形で亡くなったのは残念だ。

あの重厚な、「白い巨塔」は別として、彼の映画で好きだったのは、準主役というか、勝新と共演の「悪名」シリーズだ。八尾の浅吉親分と丁々発止の田宮の清次。河内を舞台に、このなんともいえないコンビの味は、格別のものがある。

主演級を張れる役者では、海外に出しても恥ずかしくない英語の使い手第一人者だったから、本当は、もっとチャンスがあればよかったのだろう。晩年、自主制作で、英国を舞台に「Yellow Dog」を撮ったが、興行失敗は残念。英語といえば田宮の次が丹波哲郎か。

映画三昧ー時代劇と悪役スター

2010年02月20日 | 映画
時代劇には悪役が欠かせない。主役目当てで映画を観に行くのだが、楽しみのひとつに悪役がある。最初に配役が出始め、主演助演級が終わると脇の名前が出てくる。今日はこの悪役か、と思わずニンマリしてしまう。

東映大映華やかりし頃、いろいろな悪役がいた。上田吉二郎。あの顔と独特の台詞回しが懐かしい。吉田義男もいた。山形勲もワルだった。悪い殿とか家老役で、出ていたのが、澤村宗之助、伊藤雄之助の兄貴だ。目がクリっとして、可愛らしいがワルだった。月形龍之介もいたな。だけど、東映のロングシリーズ、水戸黄門になってからは、善人一筋になっちゃった。東野英治郎も同じ様に、善人に変身した。それ程目立たない所では石黒達也ってのもいたね。

映画三昧ーLakeview Terrace

2010年02月19日 | 映画
封切の時には、あまり見る積もり無く、たまたま何かの時に観て、意外と面白い、と言う映画がある。サミュエル・ジャクソンの「Lakeview Terrace」がそれだった。

サミュエル・ジャクソンは、主役もあるが、脇というか、主役の敵役も非常に多く、そのせいか、出る映画本数では、ハリウッドのベスト3に入るのではないと思う。従って、稼ぎも相当いい俳優だ。

このLakeview Terraceはテーマが面白い。アメリカは差別の国だから、それをテーマにする映画は事欠かない。この映画は、黒人警官が、隣に越してきた白人男性と黒人女性のカップルに差別嫌がらせをする話で、Iこの映画を離れても、Interracial marriageに対する、やっかみから差別に行くことは有るだろうなと思う。おなじInterracial marriageでも、白人女性と黒人男性の組み合わせは、受ける差別はもっときついはずで、映画の中でも話題として出ていた。

映画のテーマから離れるが、このアメリカ、アメリカ人といえば、もともと白人と黒人を指す(もちろん、出だしは主人の白人と奴隷の黒人ではあるが)。そこに黄色いアジア人や、やや褐色の中南米人(もちろん中には、白い肌も居るが)が入ってきて、先住黒人アメリカ人を蹴落として、白人の次に居座ってしまった。最初のオリジナル・アメリカ人のうち、黒人がボトムに押しやられるという現実は、考えさせられる。

映画三昧ーPRECIOUS

2010年01月12日 | 映画
PRECIOUSという映画を観た。10代の黒人の女の子の悲惨な、そしてちょっぴり希望を抱かせる、見応えのある物語だ。

Preciousは貧困のハーレムに生まれ育ち、読み書きも出来ず、小さい頃から父親の性的虐待を受け、子供を二人も生まされ、しかも父親からエイズをうつされる。世の中の不幸を全部背負わされているようなものだ。しかも、母親からも日常的虐待を受けるから悲惨だ。二度目の妊娠発覚で学校を追われるが、代理学校で読み書きを覚え、先生や友達に助けられながら自我に目覚めていく。

名前のPrecious、まさに人間とは「かけがえの無いもの」、作者はそういいたいのだと思う。母親役のモニークという女優、この演技が冴えている。子供を虐待する自堕落な母親、娘に向いてしまった夫に対する憤りを、娘の虐待で晴らす、鬼のような母親。

実の子への性的虐待の実態は、日本もアメリカも、さして変わりは無いだろうが、決定的に違うのは、アメリカの方がはるかに顕在化しやすい。そして、表に出てきた事実を出来るだけ客観的に捉え、考えようと努力しようとする国民性だ。

アメリカは、性的虐待に対しては、非常に厳しいが、性的犯罪者に対しても厳しい。 刑期を終えて出所しても、所在地が一般に公開される法律があるので、監視されているようなものだ。1994年、ミーガンという7歳の女の子が誘拐レイプの上殺害された。この事件で、被害者の親の訴えと運動が大きなうねりとなり、別名、ミーガン法といわれる法律が出来、性的犯罪者の居場所を公開できるようになった。立法化まで進んだのは、性的犯罪者のリピーターになる確率が圧倒的に高いことによる。日本でもこのような法律が出来たらどうだろうか。日本は狭く、何処へ行っても居場所がオープンになるわけだから、抑止力としては相当効くのではないだろうか。そう考えたが、日本のように、セクハラに甘い国では、とてもじゃないが、そこまで到達は出来まい。

余談になるが、ソーシャル・ワーカーの役でマライヤ・キャリーが出ていた。殆どスッピンのような顔(実際にはそうではないが)なので、自信がなく、ワイフに意見を求めたら、自信満々に、違う女優や、他のドラマでたまに観るでぇーとのお答え。後で調べたらマライヤだった。どこから、あの自信が来るのだろうか。分からん。

映画三昧ージェニファー・ジョーンズ

2010年01月06日 | 映画
先月、クリスマスの数日前に、ジェニファー・ジョーンズが逝った。懐かしい女優さんだ。何しろ、ロック・ハドソンと共演した「武器よさらば」での最後の別れのキスシーンの印象は強烈だった。

「終着駅」は秀作だろう。殆ど全編を、ひとつの駅だけを舞台に映画を最後まで持たせるなんて、今時出来ないだろう。監督、ヴィットリオ・デ・シーカが素晴らしいということか。共演のモンゴメリー・クリフトもこの映画で初めて観た。濃いめの甘いマスクの彼も、その後の顔面事故で顔付きが変わってしまったのは残念としか言いようが無い。駅も、あのテルミニ駅が舞台だ。何年か前ローマを旅行した時、あ~、これがあの映画の舞台かと、感慨深いものがあった。

「慕情」は音楽も有名になり、この映画も見ごたえがあった。アメリカやヨーロッパから見ると、当時の東洋とは香港であることを実感させる。ウィリアム・ホールデン。この役者も一世を風靡した。「偽の売国奴」もよかったし、サム・ペキンパーの「ワイルド・バンチ」も面白い。

ジェニファー・ジョーンズの主演作は3作しか観ていない。最後はマックウィーンの「タワリング・インフェルノ」で、ちょっと観かけたくらいだ。


映画三昧 -警視庁物語

2009年12月11日 | 映画
時代劇の東映にあって、現代劇の方は、やはり主流の東宝や松竹の後塵を拝していたし、同格の大映に比べても見劣りする位置づけだったから、当時の現代劇俳優はしんどかったろうと思う。

主演級で印象にあるのは、佐久間良子で、「越後つついし親知らず」等の文芸作品で気を吐いていたくらいか。時代劇斜陽から、ヤクザ路線に到達して、漸く彼らにも日が当たり始めた。それにしても、ヤクザ路線は当たった。

その東映現代劇でシリーズで観ていたのが、「警視庁物語」。これに出た南廣がなかなか良かったので、結局全シリーズ観たと記憶する。東映の中では非常に地味な映画だが、堀雄二とか花沢徳衛、ふてぶてしい悪役の方がピッタリきた神田隆なんかが刑事の面々だった。あの月光仮面の大村文武も出ていたような気がする。

テレビドラマも刑事物は大体外れないが、当時の映画で刑事者をシリーズでやったのは、この「警視庁物語」くらいではないか。当時は映画は二本立てだったから、レコードで言えばB面に当たる格付けだろうと思うが、結構いける映画だと思う。

映画三昧 -久保菜穂子

2009年11月29日 | 映画
久保菜穂子は、スタイルも然ることながら、その「お色気」も抜群だった。荻窪に新東宝の常設館があったので、嵐勘の日露大戦争やら、宇津井健のスーパージャイアンツを観にいっていたが、女王蜂を観たのもそこだ。新東宝が潰れなければ、高倉みゆきと並び主演級で会社を引っ張って行くはずだった女優さんだ。

次に観たのが、「殺されたスチュワーデス」。これを観たのには訳がある。
当時杉並の東田町、今の成田東に住んでいたのだが、遊びはチャンバラ、缶蹴り、その他もろもろの外遊びだ。その日、遊んでいると周囲が騒がしくなり、大宮公園で人が殺されたという。大宮公園は我々餓鬼仲間が洞穴探検遊びをする場所だ。という事で皆で機関車の如く大宮公園へ突っ走った。もちろん、着いた時には立ち入り禁止になっており、遠くから見るだけの野次馬の一人に過ぎなかったのだが、印象は強烈に残った。そして、この事件を題材とした映画なので早速観にいったのだろう。

事件は松本清張の「黒の福音」でも取り上げられているが、大宮公園(本当は和田堀公園が正式らしいが、我々餓鬼どもは皆大宮公園と呼んでいた)に流れる善福寺川に死体が浮かび、犯人と思しき外国人神父は本国ベルギーへ帰ってしまったので未解決となってしまった事件である。

会社倒産から他社移籍となれば当然主演級の仕事が無くなってしまったのは残念だが、仕方あるまい。それにしても新東宝はグラマー女優が一杯居たような気がする。三原葉子もそのひとり。あと覚えているのは清純派としての三ツ矢歌子。彼女を観たのは宇津井健主演のスーパージャイアンツ。

新東宝の余談になるが、時代劇では若山富三郎が捕り物シリーズで気を吐いていたように思う。

懐かしの新東宝と久保菜穂子、かな。

映画三昧ーInglourious Basterds

2009年11月16日 | 映画
あのKill Bill以来の久しぶりのタランティーノ節を観た。題名から昔の「Inglorious Bastards」とは違うぜ、と言っているのも面白い。何故Ingloriousではなく、IngloUriousなのか、BastardsではなくBastErdsとしたのか。昔の単なるリメークではないぜ、だけどこの題名でなきゃ駄目なんだ、そう主張しているような気がする。本心は分からないが。

映画は、一つのプロットはユダヤ系アメリカ人兵士をブラット・ピットが率いてナチス暗殺へ赴く。ブラッド・ピットが南部訛りのキツイ英語を喋るが、南部テネシー出身の設定だから納得。
昔、「Dirty Dozen」で、Lee Marvinがならず者兵士を束ねて地獄の特攻部隊を編成し、敵陣に乗り込む面白い映画があり、ついその場面を思い出してしまう。この映画は今考えると涎の出るような連中が出ている。アーネスト・ボーグナイン、テリー・サバラス、ジム・ブラウン、それとクリント・ウォーカー。
クリント・ウォーカーは、小さい頃観たアメリカテレビ西部劇「シャイアン」。これと、タイ・ハーディンの「ブロンコ」の2大テレビ西部劇は堪能した。

Basterdsの冒頭の音楽は、どこかで聴いたような、と思うが即座には思い出せず、終わった後も必死で考えた。昔、何かの映画で聴いた音楽だ。ってなことで、映画名と音楽を入れてインターネットでチェックしたら、出てきた。アラモ。そう、あのジョン・ウィイン主演のアラモ砦の攻防だった。

鬼才、といわれるには未だ早いタランティーノの次は何か。