よし坊のあっちこっち

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Don't Turn Your Blind Eye

2012年10月24日 | アメリカ通信
見てみぬ振りをする。厄介なことに巻き込まれたくないからそうする。よくある事だ。しかし、そのツケは大きい。それで人生を台無しにするのがアメリカ。日本では考えにくい事なのだが、文化的社会的な違いがそうしている。端的に言うと、ルールの厳しさに雲泥の差があるということではないか。アメリカでは「見てみぬ振り」は許されない。不正や事件の現場では刑事罰の対象になるから、日本人のように能天気に構えていると地獄に落ちることになる。そんな厳しいアメリカに住むアメリカ人でも、いざとなったら見てみぬ振りをしてしまう。そこが人間の悲しいところ。輝かしい人生の勲章をもぎ取られ、塀の中に消えていくことになる。それだけではない。その組織も大打撃を受ける。
そのお手本ともいえる事件が、前回もトピックスにしたサンダスキー事件である。事件というのは、発生した当初はなかなか全貌も見えないし、真実も見えない。当初見えなかったものは、その後の裁判の進捗によって次第に明るみに出て、真相なるものにより近づく。この事件も捜査が進むにつれて、新しい事実が次々と明らかになり、見てみぬ振りをした為に受けたダメージは大きい。

まず、全米アメフト史上“最高のコーチ”と賞賛されていたジョー・パテルノの輝かしい公式記録は剥奪となった。モレステーションという犯罪行為の報告を受けていながら、何らアクションを取らず“見てみぬ振り”をした為である。彼は、事件のあと、病気が顕在し、あっという間に天国に召された。余程ショックが大きかったのだろう。しかし、生きていたらもっと辛い日々が続いたはずだ。

もう一人、当初は無傷かと思われた大学の学長。幹部達とのEメールで報告を受けていた事が発覚。これで起訴に追い込まれた。

全米大学体育協会は、不祥事を起こした大学そのものにも厳しい制裁を下した。まず、罰金6000万ドル。約48億円である。これはペン・ステート大学のアメフトの年間収入に匹敵する。更に4年間の試合禁止。最後に各種スポーツの奨学金カット。当初はアメフトチーム解体も論議されたが、それだけは免れた形だが、“真綿でじっくり絞める死刑“みたいなものだと評されている。この他にも、性的暴行を受けた被害者からの集団訴訟を控えており、金銭的な問題だけでなく、失墜した大学イメージを回復させるのは至難の業のようである。

Don’t turn your blind eye. 肝に銘じられるだろうか。