よし坊のあっちこっち

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携帯機器の普及で仕事の生産性は上がったか

2013年04月07日 | ビジネス横丁こぼれ話
IPhoneに代表される携帯機器のめまぐるしい変化と進化によって、人々はおおいにその利便性を謳歌しているようにも見えるが、一方で、果たしてそうだろうかという疑問も湧く。機器を使いこなし、利用しているようで、実は無理やり使わされているのではないか。
ビジネスシーンでも、Eメールやテキストメッセージ等の情報伝達手段として、その普及は凄まじく、その効用として、あらゆる面での生産効率が飛躍的に向上した、と誰もが信じて疑わない。しかし、最近いくつかの調査結果が公表され、ある専門家は今後の方向性を考える重要な転換期にさしかかっていると警告を発している。

大きく二つの問題が提起されている。まず、職場の生産効率が殆ど上がっていないという事実。更に、今後増えるであろう訴訟に対し、企業のトップが鈍感であるという現状。

第一の問題点。今や仕事でEメールやテキストメッセージは当たり前だが、これが大いに人々の労働生産性を阻害しているらしい。人的資源の効率化に詳しいApex Performance社が実施した300人の調査結果、70%が毎日21件以上のメールを受信、半数以上の人が最低11回メールをチェックし、30%の人は、メール受信の通知の度にメールを開けてチェックするという。これは、20分に一回はメールを開けてチェックしている勘定なると言う。又、マイクロソフト社の社内調査によると、Eメールやテキストメッセージを受信したために、やりかけの仕事を中断し、メールをチェック後に本来の仕事に戻る時間は早くて15分要したとのこと。これらを総合すると、一時間に仕事に集中しているのはたったの15分に過ぎず、ひとつの仕事を集中してやるには、Eメールやテキストメッセージの存在がかえって邪魔をしているという皮肉な結果を指摘している。

第二の問題は、携帯機器で人々は“Always Connected”状態となり、就業時間外でも否応なしに仕事のメッセージが入り、就業時間の境目が破壊されてしまった。その結果、多くの人が、就業時間外でも仕事に“Involve”されている。問題は、FLSA(米国公正労働基準法)で定めた残業手当の支給不払いである。多くの企業が無知か、見て見ない振りを決め込んでいるのが実情で、全米でも携帯機器の使用に関するPolicyを備えているのは5分の1に過ぎないと言う。米国企業がこの実態だから、日系企業を推して知るべしだろう。
最近、デトロイトで携帯機器と残業に関する訴訟があり、当然のことながら訴訟を起こした労働者が勝訴した。

今後共、携帯機器との付き合いからは逃れられない以上、企業が知恵を絞らねばならない。