よし坊のあっちこっち

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安いのにはワケがある

2013年12月04日 | ビジネス横丁こぼれ話
日頃、思いがけない安い商品に出くわすと、当然興味が沸き、買ってみようかと考える。そんな時には筆者夫婦は呪文を唱えることにしている。“安いのには理由(わけ)がある”。そう唱えて買った後で、商品の表示や内容に詐称が判明しても、それ程腹は立たない。呪文のお陰である。

日本のお隣韓国や中国はコピー商品では名だたる国である。韓国のイテウォンはつとに有名だし、中国に至っては国全体があたかもコピーマシーンであるかのようだ。我々もハナからそう思っているから、コピー商品で騙されても、頭に来ることは滅多にない。されば日本はどうなのか。大方の日本人は、日本ではそんな事はあるまいと思っているだろうが、どっこいそうは行かない。関西方面では時折、偽ルイ・ビトンの製造者が捕まった、と言うような事件記事、或いは類似の記事が新聞の片隅に載る。大体同じ人間がリピーターとして捕まっているらしい。その筋によると、この商売、相当荒稼ぎが出来るらしく、捕まって数年塀の中で過ごしても十分に元が取れるから止められないのだとか。

関西では一流と言われているH電鉄系ホテルで発覚した食材偽装。高級レストランとして
それなりに高い価格で提供していただけに、客の怒りは収まらない。“安いのにはワケがある”のとは訳が違う。見苦しいのは、それを「誤表示」という姑息な言い訳で逃げ切ろうとしたこと。見え透いた嘘が油に火を注いだ格好だ。これら一連のドタバタは、不祥事におけるリスクマネジメントの程度の低さを露呈した格好だが、その後日本全国続々と不祥事が明らかになり、最早お粗末を通り越して開いた口が塞がらない。過去の偽装問題は生産者と消費者を結ぶ中間段階で多かったのだが、賞味期限貼り替え問題や大阪の有名老舗料理屋の残飯付回し事件の頃から、モラルは加速的に下り続けてきたような気がする。

熾烈なコスト競争の結果、最早、最後は禁断の手を使うことにあまり躊躇いが無さそうだ。何やら、よくある万引き犯の心理にも似ている。万引きは最初に捕まると改心率が圧倒的に高いらしいが、一回成功してしまうとリピーターとして奈落の底に落ちていくと言う。偽装が日常化すれば次第に罪の意識が麻痺してきて、あたかも世間がそれを受け入れてくれているかの様な錯覚にも似た状態に落ち込んでしまう。そこでは、日本人特有の“あそこもやっているからウチもやろう”と言う、同業他社横並びの思想が顔を出す。“みんなで渡れば怖くない”。

食のブランド志向には危うさがある。呪文がひとつ増えた。“高いのにもウラがある”。