よし坊のあっちこっち

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二番手のススメ

2014年05月01日 | ビジネス横丁こぼれ話
業界トップの会社と二位の会社がある。新入社員として、そのどちらへも就職可能だとしたら、アナタはどちらを選ぶだろうか。特別な理由が無い限りは業界トップの会社を選択するだろう。大企業か中小企業かの選択であれば、総合的判断から大企業を選択するに違いない。しかし、多角経営化する大企業にあって、その企業が展開する全ての事業がその市場のトップとは限らない。話題の大企業に入ったものの、配属された部署や事業体が後発で苦戦している例はざらにある。しかし後発も捨てたものではない。二番手三番手の事業はトップに中々追いつけない苦しさはあるが、追いつき追い越せ、という大目標があるので、苦しい中にも緊張感が生まれ、試行錯誤を繰り返すことで人間が育つ。もちろん、先発にはトップを守るという別の苦労はあるが、仕事の楽しさは、二番手の方がはるかに面白い。そんな経験を筆者はかつてしたことがある。

筆者が学校を卒業して就職したのが当時経営多角化を次々と打ち出していた、業界大手と言われる会社だった。ところが、配属されたのは、中核事業ではなく、全く新しい事業を展開する部署であった。その事業分野には既に7年前から先発企業が強力な市場を形成していた。パイオニアとしての先発企業は強い。既にブランドと品質が市場に浸透しているので思うようにマーケットが取れない。僅かな品質の良さがあれば、これでもか、これでもかと説得を繰り返し、値段で揺さぶられれば、どこが落とし所か、悶々とする日々。お陰で最初の5年間は赤字の垂れ流しで、何度も事業中止の憂き目にも遭ったが、任された海外市場開拓で、東南アジア、欧米と無い知恵を搾りながら兎に角走り回った経験は大きかった。こうして1970年代から80年代を駆け抜けた。

その後縁あって別の事業部に異動した。そこは別世界であった。その事業部の展開商品は世界一の品質を誇り国内外に君臨していた。素晴らしい事に違いないないが、大きな問題を内包していた。平たく言えば、こちらから売りに行かなくても先方から平身低頭買いに来る、そんな図式である。やる事は値段を決めて数量を配分するという、お役所仕事に似ていて態度も不遜となりがちで、新入社員はそんな雰囲気に直ぐ慣れ、苦労知らずの自信家ばかりが育っていく。

苦労は人間を育て、その人の人生に幅を作る。そして、何よりも仕事は楽しくなくてはならない。それを求めるならば、二番手こそおススメである。