よし坊のあっちこっち

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KAROUSHI(過労死)と日本のExempt新制度

2015年08月04日 | ビジネス横丁こぼれ話
新しいルールや制度。作らないと前には進まぬが、さりとて、不備な環境下でやってよいものかどうか。Betterを目指した事がかえってWorstへ進むことがある。日本のExempt新制度はそんな危惧を覚えさせる。先進国の中でも日本の労働時間の長さは広く知られているが、最近のExempt新制度に関連して 今や横文字でも登場する、日本企業社会の特異な「KAROUSHI(過労死)」への影響を海外メディアでも取り上げている。

Exempt新制度は一定の高額年収以上を対象に所定の実績さえ上げれば勤務体系は自由とする代わりに残業の概念を無くす、というもの。例えばの対象はコンサルティング等となっている。どこかで聞いたような、と思ったら在る在るアメリカに。

明治維新以来、制度の導入は欧米からが習わしのようなものであり、敗戦後はとりわけアメリカが多いのは致し方あるまい。制度そのものは字面だけ読めば”良い制度”に見えるのだが、問題は、全く異なる社会的基盤で機能している制度が、果たして日本の土壌に合うのだろうか、という点である。

当然のことながら、経営者側は新制度を歓迎し、更に年収額を含めた対象のハードルを下げたい意向が見え隠れしている。 他方、専門家の間からは、ただでさえ過労死が増加している現在の社会的基盤で新制度が拡大するならば、過労死は更に増加するだろうとの懸念が出されている。

OECD(経済協力開発機構)の最新調査によれば、週当たり50時間以上の勤務者は、フランス8%、アメリカ11%、イギリス13%、日本22%と報告されており、日本の残業は他の国を圧倒している。日本独特の労働環境の中での残業は、ストレートに申請できない雰囲気を持っており、これが所謂サービス残業として蔓延っているから、超過勤務者の実態は22%では収まるまい。かかる労働環境下での新制度は「改悪」の道を辿りそうな予感が十分である。

アメリカに赴任した日本人駐在員は、アメリカ人の働き方、時間の割り切り方に感動する。ストレスも雲泥の差であることを感じ、その労働スタイルを満喫する。しかし、いずれ帰国命令が出るであろう。その時どうするか。

家族で赴任し、アメリカ生活を満喫して帰国した40代の男性が、半年後、くも膜下出血で倒れた。その原因が急激なストレスの変化だったかどうかは不明だが、考えさせられる話だ。