よし坊のあっちこっち

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異文化民族共存の難しさと英国の行方

2016年06月24日 | アメリカ通信
注目の英国のEU離脱国民投票でBREXITが決まった。つくづく民族共存の難しさが浮き彫りになり、英国に次なる問題がのしかかってくる。

第二次大戦後のヨーロッパ再構築には、かつてのEECヨーロッパ共同体は不可欠であったのは間違いない。二度と不幸な戦争に陥ることなく、やがては一つの国のように運営される地域を目指した理想は、それはそれで素晴らしい試みであったに違いなく、共同体の成熟を経て、通貨の統合を実現したところで、夢の計画がほころび始めたと言える。

人は生まれた国の言語と文化の中で自己のアイデンティティを形成、熟成していく。このアイデンティティを強烈に感じさせるのが戦争だろう。自己のアイデンティティを育んできた国の為だからこそ、戦えるのだと思う。そうしたアイデンティティを持ったファミリーが違うアイデンティティを持ったファミリーと明日から共同生活をしたら、どこまで仲良く暮らしていけるか。あるレベルまでは行けるだろうが、血縁で結ばれた”家族”のレベルには到底行けまい。それがEECであり、EUだと考えればよい。

地政学的にも考えなくてはならない。ドーバー海峡の海の下がトンネルで結ばれていても、EU諸国の中で英国は島国なのである。地続きでないことの意味は大きい。実際の距離以上に目に見えない距離は障壁があると思って間違いない。日本と同様、島国ならではの独特のアイデンティティがあるはずである。

今回のBREXITはEUにとっても大きなブローだが、英国にも厄介な問題を再燃させるだろう。一昨年だったか、大英帝国を形成しているスコットランドが英国離脱を求めて住民投票(国民投票と言ってもいいのだが)を行い、僅差で留まることになった。今回の離脱はスコットランドの離脱派に再び力を与えるのは間違いないだろう。

英国を形成する4州(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)のオリンピック出場サッカーチームが象徴的である。オリンピックでは一国を代表するチームでなければ出場出来ない。1972年までは実質イングランドチームを代表として出場させてきたが、問題提起され、以後真の統一チームが組めず、オリンピックから遠のいて来た。2012年のホスト国となって、漸く英国チームとして出場したが、内実はスコットランドとウェールズが参加はしないが表立って反対もしない、という窮余の策で表向き統一チームを組む形をとった。あくまでロンドン五輪、いや、大英手国五輪成功の為の苦肉の策に過ぎず、対立は根深いものがある。

BREXITは大英手国激動の幕開けかも知れない。