よし坊のあっちこっち

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コマネチを知ってますか? (1) ルーマニアの新星

2017年11月09日 | アメリカ通信
あなたはコマネチを知ってますか? 今時の人がどれだけ知っているだろうか。オリンピックの女子体操と言ったら少しは思い出すかもしれないが、時代と共に我々の記憶から消えていった、あのルーマニアの天才少女はどうなったのだろうか?

あの愛くるしい顔で世界を魅了した天才少女は、波乱の人生を歩み、終の棲家をアメリカに求め、50代の半ばの現在、相変わらずの美しさで幸せにオクラホマで暮らしている。彼女の軌跡を追ってみる。

1961年、当時の共産圏であったルーマニアに生まれたナディア・コマネチは、幼稚園の頃に体操教室に入り、小さいながらも自分の人生は体操しかない、と直感したらしい。そして6歳の時に運命的な出会いに遭遇する。当時、ルーマニアの新しい体操コーチに就任したベラ・カローリは将来の有望選手を探していた。そして、コマネチに出会った時、彼女の中に”何か特別なもの”を感じたと言う。こうして彼はコマネチの訓練を始めることになる。

一年後の7歳の時、ルーマニア体操ジュニア選手権に初出場、結果は13位に終わった。しかし、それにめげることなくハードトレーニングを続け、翌年には見事に優勝を果たし、国中にコマネチの出現を知らしめ、引き続きカローリ指導のもと、週6日、毎日8時間の国家プロジェクトの強化選手となった。

1975年、シニアレベルの競技参加資格の年齢に達すると、国内はもとより、ヨーロッパでの国際競技に出場、瞬く間に表彰台の華となっていく。こうしてヨーロッパで実力を知らしめたコマネチは1976年のモントリオール五輪に照準を合わせ、直前の3月、ウォーム・アップを兼ねてアメリカン・カップの競技会に参加、ここでも種目を独占し表彰台に立った。

この大会で、男子体操はバート・コナーが優勝した。報道陣は男女優勝者の写真撮りで、二人を並ばせ、バートに喜びのキスのジェスチャーをせがみ、彼はコマネチの頬に軽くキスをした。こうして二人は別々に間近のモントリオール五輪へ向かうのだが、これが運命の出会いだとはコマネチは気づいていない。