よし坊のあっちこっち

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小さな会社でも起こる不祥事 アメリカ篇

2019年01月23日 | ビジネス横丁こぼれ話
事務所や会社の代表者になって心掛けなければならない事と言えば、フェアでありクリーンであることだろう。しかし、それを実践して日々真面目にマネジメントに勤しんでいても、ちょっとした脇の甘さで事件や不祥事に巻き込まれることがある。

今から22年ほど前、日本から派遣され小さな現地法人を立ち上げた。日々なれない事の連続で、頼りは現地スタッフ。総務全般を任していた女性は、しっかりもので、大変よく仕事やアドバイスをしてくれたのだが、一年少々でご主人の他州転職の為に辞めることになった。早速後任を採用し仕事の引継ぎをしてもらった。前任者には全幅の信頼を置いていたので、そのままの流れで後任も信頼しきっていた。慣れとは恐ろしいものである。これがいけなかった。

三か月のオリエンテーション期間が終わりに近づき、正式に雇用するか否かをそろそろ決めなければならない、と考えた矢先、彼女が転職を理由に辞めてしまった。それから間もなく、見覚えのない請求書が経理から回ってきた。会社名義のカードで家具屋で約700ドル分の部屋の調度品が購入されていた。会社としては覚えのない購入なので、店に電話をし、購入伝票のサイン欄のコピーをファックスしてもらったところ、辞めた彼女のサインがあった。カードが作られた経緯を聞いて愕然とした。総務管轄で日本人駐在員の個人情報を保管していたのだが、代表者である筆者のソーシャル・セキュリティー番号を含むプロファイルが家具屋のクレジットカード作成に使われたらしい。直ぐ本人にコンタクトを取ろうとしたが、もはや手遅れ。

淡い期待を抱きながら、盗難届を出しにFulton Countyの警察に出向いた。担当官が出てきて、事情聴取となり、所定の形式に聴取内容の文字が埋められていく。書き終わったところで担当官がこう締めくくった。「カードの請求書が届く前に辞めるあたりは手慣れた小悪党の常習犯で、もう、他州に逃げているだろうから、捕まることはあるまい」。

当時は今ほど個人情報の取扱いに厳しくなかったとは言え、組織の長としては全く迂闊であった。「人を見たら〇〇〇-と思え」とまで人を疑いたくはないが、今の世の中、内心はそのぐらいに思っているので丁度良いのかもしれない。