よし坊のあっちこっち

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味にうるさい日本人

2021年06月04日 | アメリカ通信
味に少々うるさい外国人でも初めて日本に行き、その食文化に接して驚くことが多いようだ。ヨーロッパで美味しいケーキを食べ慣れているドイツ人が”なんでこんな外れた町でヨーロッパでもお目にかかれない美味しいケーキを売ってるんだ”とか、フランスのパンが世界最高と思っていたフランス人が日本のパンの美味さに舌を巻き、菓子パンの豊富さに度肝を抜かれているのだ。

日本の食生活は恐らく世界に比類がないくらい奥深く幅広いのだと思う。生に始まり煮て、焼いて、揚げて、蒸す。食材もピンキリだが、あの小さな鰯の稚魚をしらす干しやちりめんじゃこで食べたり、アメリカ人なら見向きもしないシジミが佃煮に化ける等、想像もつかないだろう。

こうしたバラエティに富んだ食文化の中で育った日本人は飛び切り舌が肥えている。だから、外国人が日本人相手に商売をしようとすると大変な困難さを伴い、多くの場合は失敗するのである。ファーストフードはその典型だ。バーガーキングは3度の挑戦で挫折した。3度目の挑戦は、”我々は過去の二度の失敗で多くを学び、今度こそ成功させる”と豪語していたにもかかわらずだ。ウェンディーズも沈没した。そして、開店当初は長蛇の列で何時間も待たされたクリスピー・.クリーム・ドーナツも今や風前の灯である。

マクドナルドは健闘しているではないかと言われるだろうが、これは歴史が違う。今からおよそ50年前、ファーストフードの将来性を見越した藤田田という経営者を得て事業展開したが、定着せず一度撤退。藤田田の再挑戦で悪戦苦闘の末現在に至った。当初の失敗はアメリカ本社の”アメリカン・テイスト”の頑ななゴリ押しによる。「アメリカNo1の味が日本人に合わないはずがない}と。

逆から見た面白いエピソードがある。今から10年以上前の話だが、二人のアメリカ人が初めて日本に出張し、ハンバーガーを食べた。仕事を終え帰国の途に就いた二人が飛行機を降りコンコースに出た途端、向かったのはマクドナルドだった。「ハンバーガーはこれに限るぜ」と言ったとか。 人それぞれの食に対するテイストは生まれ育った所で決まるから、彼らの行動もよくわかる。だからこそ、日本人相手に食べ物の商売をする時、相手が、「The most discerning people in food on this planet」であることを認識しないと成功はおぼつかない。