よし坊のあっちこっち

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映画三昧 ‐ Sayonara

2021年06月14日 | 映画
昔、早川雪州がいた。あの日本軍によるイギリス軍捕虜を扱った「戦場にかける橋」の収容所所長役である。日本人俳優のアメリカでの先駆者でもある。その意味で、もう一人忘れてならないのがナンシー梅木だ。

映画小僧だったよし坊は中学高校と映画雑誌を読み漁っていた。映画画報だとかキネマ旬報から専ら洋画情報にのめり込んでいた。そこには雪舟や高美以子とともにナンシー梅木の名前を知ったのだが、彼女がオスカー助演女優賞をとったという映画を観る機会がついぞ無かった。

その映画「Sayonara」が念願かなって観ることが出来、大満足の日々である。

映画は時として、その時代を鮮明に映し出してくれる。朝鮮戦争を背景に、神戸を舞台にしたマーロン・ブランド主演の作である。歌舞伎、能、文楽を賑やかに配し、宝塚歌劇団を模した踊り子集団からヒロインの高美以子、そして、もう一人の米軍パイロットの妻になるナンシー梅木。

この映画でもうひとつ収穫がある。若きジェームス・ガーナーが将校役で出てるではないか。彼を初めて映画で観たのはスティーブ・マックィーン主演の戦争捕虜脱走の映画「大脱走」であった。あの映画にはそうそうたるメンバーが出ていた。

Sayonaraの映画の中で、面白い場面があった。殆ど英語が分からぬまま、米人パイロットと結婚するナンシー梅木が牧師の前で宣誓する場面。牧師が結婚の宣誓文を読み上げ、まず男に宣誓を促し、「I will」とやる。次に牧師は女に同じように宣誓を促すが、英語が分からない。そこで男が助け舟を出し「She will」と答えると女がそれに倣って「She will」と答えるのだ。英語が分からない人にとってはそんなもんだ。監督の些細だが心憎い演出である。

この映画を観ると、当時の軍規律で例え日本で妻を娶っても本国に連れて帰ることが出来ない問題を浮き彫りにしている。戦後、多くの米国軍人が妻を残して帰国した背景が分かる。

エンディングの場面も懐かしい。当時の数寄屋橋界隈と一世を風靡した日劇が映し出されている。戦後を垣間見る映画のひとつだ。