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パナマ・ペーパー、 もうひとつの衝撃

2016年06月03日 | アメリカ通信
4月初め、「パナマ・ペーパー」なる文書が公表され、瞬く間に世界を駆け巡った。そこに上がっている世界の著名人は火消しに躍起となり、プーチン大統領は知らぬ存ぜぬを決め込み、アイスランドの首相は辞任、イギリスのキャメロン首相は当初は無関係を決め込んだが、証拠が上がり、事実を認めざるを得なくなった。あの中国の習近平の親戚筋もしっかり名前が上っており、人間、主義主張とは別の顔を持っていることが改めて浮き彫りになった。

金持ちになると、より金を増やしたくなるのだろう。税金がかからない場所があると知れば移したくなる。昔から知られているタックス・ヘイブンだ。それ自体違法ではないが、過去の歴史を紐解けば、実体のない会社を作って資金をプールし、簡単に脱税が出来るので、所謂たくさんの”悪い奴”が利用しており、タックス・ヘイブンのイメージは頗る悪い。

さて、表題のパナマ・ペーパーの「もうひとつの衝撃」とは、中身の話題のことではない。パナマ・ペーパーが公表されるまでに至ったジャーナリズム精神の凄さの事である。どんな経緯を辿ったのか。

一年以上も前に、見知らぬソースからドイツの日刊紙として最大部数を誇る南ドイツ新聞社に膨大なリーク書類が送られてきた。その数約1100万件。 この気の遠くなるような膨大な量と全世界をカバーしなければならない広域性から、一社の力では無理と判断、過去に共同ワークをしたことがあるThe International Consortium of Investigative Journalists(ICIJ)-国際調査報道連合に持ち込んだ。ICLIはワシントンDCを拠点に、世界の犯罪、不正、公共の利益を破壊する企業団体等の職務怠慢を国境を越えて暴くジャーナリスト活動の団体である。

通常、ニュースを追いかけるジャーナリスト達の糧はスクープにある。他社や同僚さえも出し抜いてスクープをモノにした時、ジャーナリスト冥利に尽きる、というものだ。ICLIは、膨大なパナマ・ペーパーの信ぴょう性の裏付けを調査するために世界中の”ツワモノ”ジャーナリスト達の協力を仰ぐのだが、事の重大性に鑑み、公表するまでは徹底的な極秘調査とし、
公表はICLI一元化とした。そして、参加ジャーナリストにはひとつのシンプルなルールを課した。「決して家族に話してはならない。妻にも話してはならない」。

こうして、世界の80カ国にまたがり、100以上のニュースメディアを巻き込み、総勢376人のツワモノどもを束ね、一年以上かけたパナマ・ペーパーが公表された。ICLIの下、一糸乱れぬジャーナリスト達の”共同スクープ”という快挙である。


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