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アトランタ殺人事件とKKKの影

2021年07月08日 | アメリカ通信
アガサ・クリスティのタイトルにもなりそうな「アトランタ殺人事件」と呼ばれるジョージアでは有名な未解決事件がある。1979年~1981年にかけて起こったこの連続殺人事件(内訳:子供24人大人5人)は別名「Atlanta Child Murders」とも呼ばれる奇妙なコールド・ケース(未解決事件)である。アフリカ系アメリカ人の子供が次々と行方不明になり殺人の犠牲者となった。捜査に当たったアトランタ所轄警察は殺人の最後の局面で起きた大人の殺人事件で浮かんだアフリカ系アメリカ人の容疑者ウェイン・ウィリアムスを逮捕、一連の連続殺人事件の犯人と断定したが、立件起訴に持ち込めたのは大人二件の殺人のみで、他は確固たる証拠もなく、立件できなかった。

この事件の捜査には疑問点が残る。(1)最後のほうで起こった大人の事件での犯人逮捕で一連の事件の同一犯人と結論付けたのは正しかったか(2)ターゲットが子供ばかりという明確なパターンのある連続殺人の流れの最後に突然大人の殺人パターンが入り込むという違和感をどう説明するのか。結局こうした疑問を解くことが出来なかったのである。

1986年、二人のジャーナリストが州捜査局GBIの秘密裏の捜査をすっぱ抜いた。実はGBIは一連の子供の殺人にはKKKが絡んでいるのではないか、との観点から捜査に入っていた。捜査の過程で、KKKのあるファミリーが仲間を集い”人種戦争”を起こそうと計画していたことを突き止めた。GBIの”情報提供者”から、KKKメンバーのひとり、麻薬密売人が仲間内で殺人を仄めかす話をしている事実を受け、隠しマイクでの殺人供述の録音までは成功したが、事件が二人の起訴で幕引きとなったため、Cold Caseとなった。

2004年、DNA捜査が一般的になったこともあり、当時の捜査員だったルイス・グラハムは所轄警察署長になったのを機に、再捜査すべくDNA鑑定を指示したが、当時は未だ、両親の痕跡を受け継ぐ核DNA検査ではなく、母親の痕跡のみ引き継ぐミトコンドリアDNA検査であったため、黒白をつけるには至らなかった。そして核DNA検査が犯罪捜査の主流になったことを受けて、2019年、アトランタ市長ケイシャ・ボトムスはこの事件に決着をつけるべく、再捜査を宣言したのである。因みに、ウェイン・ウィリアムスは当初から犯行を否認し続けている。


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