ぼくらの日記絵・絵心伝心 

日々の出来事や心境を絵日記風に伝えるジャーナリズム。下手な絵を媒介に、落ち着いて、考え、語ることが目的です。

「道」

2015年04月06日 | 日記

       

                                            絵は水郡線

 ずいぶん前のことだが、NHKテレビ「日曜美術館」で東山魁夷の作品が解説されていた。その中の一つ「道」。緑色に広がる丘陵に向かい一本の道がまっすく伸びている単純な構図。昭和25年に日展に出展した作品で、混乱する戦後日本画の世界にあり、風景画による進むべき道を定めたと評価されている、と解説があり、私は感動した。

 さて、自分自身のこと。先日も書きましたが、13年間の茨城県の職場での仕事を終え、東京に戻る。東京と茨城は仕事内容も生活方法も違う。茨城に移るには相応の心構えをしなければならなかった。東京へ移動するにはクルマがあたりまえだが、それまで運転したこともなかったので、水戸から水郡線という単線の電車にゆられてやって来た。

 茨城での仕事や生活は楽しいものであった。豊かな自然、ゆったり流れる時間、人情、など。今となっては離れがたいものがある。

 今、仕事を仕上げ想い出を自分の記憶やスケッチブックに納め、東京に戻る。これまで3台のクルマを乗り継いできたが、手放し茨城に来た時と同じように水郡線で帰る。

 鉄道線路の脇に立ち伸びる先を眺めてみる。茨城赴任を絵で表現するとこの一本の線路になる。

 東山魁夷の「道」に少し近づいた気がする。      4月4日 岩下賢治

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