絵=入澤光世 なばな
間もなく地方統一選挙である。立候補者も出揃いつつあり、看板なども設えられ始めた。名前を連呼する拡声器の音がうるさく響き渡るのも間もなくである。ところが、各自治体では、投票率の低迷が心配されている。私の住まいの新宿でも40%にとどかない。その原因を住民の政治意識の低さに求め、ひどいのになると、民主主義の危機などと煽り立てたりする論調がある。政治的な意識は、私たちの生活実感からは遠ければ遠いほうがいいのであって、もし政治的に問われるようなことがあるとすれば、それは生活実感において、非常の時なのである。
そんなことより、私には地方の議会議員というのは、どういう役割をどのように果たしているのか、解らない。国政のように議員内閣制ではないから、議員の所属政党は本来意味がない。
それに、地方行政は財源が不足しているから、独自の市政を施す余地はほとんど無いに等しく、総務省(旧自治省)の行政方針を円滑に遂行するしかない。それほど高額ではない議員報酬を得て、議員は本当に何をし、なにをしたいのだろうか? 単なる名誉職なのだろうか? 無投票に近い弱小の自治体では名誉職なのだろう。しかし、それで行政が滞るわけでなければ、それはそれで良いのだと思うのだが。
自治体でするべきことはなんなのか、本気で考えるべきである。吉本隆明さんは、政治の理想はいやいやながらする地域のゴミ当番みたいなものだと言っているが、地方選の今つくづく思うのである。【彬】