色づいたキンカン
コロナ危機のこの約2年間、当初、管轄する保健所の機能がパンクした、機能を果たしていない、いまだにファックスで通信連絡の仕事をしている、などの批判が相次いだ。その後、対策を講じたのか、保健所にまつわる事象が全く報道されない。
とはいえ、伝染病に関わる業務は保健所の仕事であって、例えば赤痢が発生したなどとなれば、保健所が消毒や検査を行う。コロナも第2類に相当する伝染病だから当然保健所が管轄する。だから本日何人が感染したなどと発表するのは、保健所である。そして、その感染状況を把握して、対策を立てるのは、保健所が主導するはずである。ところが保健所の活動は影が薄いようで報道の対象にはならないらしい。
変わって、国や監督官庁、あるいは知事、それらの専門家などの話は過剰なほど出てくるが、肝心の保健所はどうしているのだろうか。保健所の動向を私は知りたい。今回の感染状況は、異常すぎているので、保健所の機能をはるかに超えているというのなら、行政のシステムの変更である。それならば、それ相応の変更手続きをするべきで、その手続きをした上の今日の対応があるのだろうか。単に私だけが世情に疎く、知らないでいるだけなのだろうか。
高齢者の私には今、ワクチンのブースター接種の知らせが届いている。知らせは区からである。保健所からではない。保健所と区は一体だから、問題はないのだろうか。緊急事態だから、細かなことより、大所高所の対策が優先するというのだろうか。でも、私は、なし崩しに行政を変えるのは非常に問題だ、と思うのである。
行政というのは、権力の行使である。だから、法治国家である限り、法の手順を最大限に尊重するのが大原則である。コロナ問題でも、いささかの法律上の手順を無視してはならない。それでは現実の対処ができない、というなら、憲法を含め、法の改変する必要がある。
私の近所にある保健所では、人の出入り、関係者と思しき人の出入りはほどんどないようで、閑散としている。そんな現状を見ると、いっそう、思いが募るのである。【彬】