読んだ本の数:9
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ナイス数:452
襲大鳳(下) 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)の感想
今一番油の乗る黄金の世代の火消したちを一刀両断「雛共が偉そうに」「小僧ども!」と言い切ることのできるただ1人の人物。過去の酷い出来事から十八年。その生きた全てをかけて散って行った仲間達を背負って伊神甚兵衛という最強の火消しが生き直すその瞬間が激烈で、でも誰も死なせない火消し魂をもつ1人の火消し甚兵衛で。全巻を通してこれが一番の揺るがないこと。過去から今。そして未来へ。火消しの心と決意、覚悟を伝えていく。謎はまだ沢山。それでも今は一旦。火消したちにも休んでもらい再会できる日を心待ちに、するしかない、のですね
読了日:06月24日 著者:今村翔吾
襲大鳳(上) 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)の感想
18年前の再演、のような火付けとそれに対抗する火消しの面々。当時の雛たちは見事に育ち、ただその前に立ちはだかった人物のみが当時のまま。ラストの源吾の混乱は、けれども一縷の望みも含むのか?新たな雛が育つまで、黄金の世代であった者たちが闘う。本筋は真っ黒で激しい。が、その折々に挟み込まれる辰一と秋仁の喧嘩とか今の雛である2人の行動とか、ふっと微笑ましく思う場面や勘九郎の父が命を落とした大火、また内記の思惑や要人の動きなど何重にもなって面白い。初めての上下巻。疑問が山盛りのまま次に進む(それで終わり?やだー!)
読了日:06月21日 著者:今村翔吾
双風神 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)の感想
弾馬の要請で向かうのは大坂。町火消ししかいない町で5つの組の対立を源吾らしい荒っぽいやり方で纏める場面はさすが見事。恐ろしい緋鼬と呼ぶ炎の竜巻(のイメージで読んだ)を倒すために星十郎の力を望み、彼の絶望とその後そこから頭を上げた火消しとしての強さを見届ける。山路様の孫を思うような最期の言葉に胸を打つ。どこを切り取っても読み応え充分で頭の中に大坂の町と人々が広がり止まらなかった。涙と共に緋鼬を抑え、江戸に帰る。それにしても敵方が一話毎に増えていく気がして怖くて仕方ない。この先どうなっていくのだろう。
読了日:06月18日 著者:今村翔吾
玉麒麟 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)の感想
衝撃。初めからそんな事はあり得ない、と信じたけれど、真相に突き当たった時鳥肌が立った。かの方はどこまで非道なのだ。そして火盗改方が、ということに悔しさと憤りから身が震えた。鳥越新之助という今回の核である彼のいつもの軽妙な雰囲気、笑い、強さと柔軟さを周りの信じる仲間、町の人々から強く感じさせられると共に火消しとしての覚悟、剣客としての力強さも存分に魅せる。目が離せない怒涛の流れ。恋?が成就するにはまだまだ山も谷もありそうだけれど、それぞれの覚悟となにより火消しとしての力でどうか乗り切って欲しいと願う。次へ!
読了日:06月15日 著者:今村翔吾
狐花火 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)の感想
なんだ何だなんだ!?冒頭から、これは一体どうなる?とガッツリのめり込まされ、ラストまで彼方も此方も重なり繋がってラスト号泣。源吾の泣けない(状況の)分までこちらが涙止まらなかった。一冊で纏まりながらこれまでの重ねてきた時間(冊数)分の厚みも加わり、さらにこの前の一巻が黄金雛であったこともすごく今回のお話に彩りを加える。どんな作者だこの人は?火喰鳥を始める前から全部組み立てられているのか?頭の片隅に浮かぶこの問いを消せずもう完全に捕まって離れられない。ラストの花火はうん。秀助の、勝ち。胸がいっぱいで、ある。
読了日:06月13日 著者:今村翔吾
黄金雛 羽州ぼろ鳶組 零 (祥伝社文庫)の感想
遡った物語。今を生き闘う男たちの親の代。その息子であった彼らの若さ故の無謀と活力。一冊の中にぼろ鳶シリーズの全てが詰まっていると感じた。源吾と父の確執。その解ける瞬間が永遠の別れ。火消しとしての信念を息子に伝えて、きっと父親も諦めては居なかった。一部の身勝手な理屈から起きた余りにも酷く残酷な事件がきっかけで起こるこの大火事に憤り辛くもあるが、そこを背負って今を生きる火消たちの生き様を、今後は更に厚みを持って見守れる。「火消はどんな命でも救うのだ。それが悪人であろうとも。たとえ己が死ぬことになろうとも」→
読了日:06月08日 著者:今村翔吾
いのちの木 (ポプラせかいの絵本)の感想
本屋さんで目にして気になって購入。「いのち」をテーマにした一冊。美しいデザインの絵で、大切な人との別れとその後を描いていた。大好きなきつねさん。森の仲間たちの彼との思い出がやがて一本の美しい木となる。命の尽きること。こころに生き続けることを描き出してくれている。
読了日:06月05日 著者:ブリッタ・テッケントラップ
ねこのピート だいすきなしろいくつ (海外×参加型×うた【2歳・3歳・4歳児の絵本】)の感想
娘の絵本)お気に入りのまっしろな靴が歩いているうちにどんどんいろんな色に。でもそれもいいね!とお気に入りのまま笑顔で進む、とても気持ちの良い一冊。色が変わるたびに歌う歌の楽譜も付いていて、読み聞かせにもバッチリな絵本でした。読み手も楽しい。
読了日:06月05日 著者:エリック・リトウィン
夢胡蝶 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)の感想
ここまでの作品の中で1番好きかもしれない。夢胡蝶。読み終えて後にこの表題を読むと改めてしみじみと美しく哀しく感じる。吉原が舞台というだけで事件そのものが複雑であろうことを予感させ、その解決の裏側もまた入り組み。その中で彦弥の生まれの秘にも驚き。そんななか、私の1番のキモは、最後の源吾と田沼意次との会話。対決ともとれるそこが、今回の事件を、というかシリーズ全体を深く彩り、火消しがただ人を救うことのみに命をかけることを際立たせてくれたように思う。私のここまでの不安定さもガツンと砕いてくれた。続きが更に楽しみ。
読了日:06月01日 著者:今村翔吾