乙一 著 幻冬舎文庫。
あんまり、実は読みたくなかったんです。今。
正直、精神状態が健全とは言いがたいので、引き込まれたらヤバイよな、って思ったんです。後ろの作品紹介の文章読んでね。。
だけれど、これ、友人に借りた本でして、しかも今回は、私から「これ貸して」っていってお願いしたものだったので・・・読まなくちゃな、って。。
軽く、ネタバレありです。
からくりがわかってしまうとつまんないお話だと思うので、、以下、未読のかたはお気をつけください
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視力をなくし、唯一の肉親である父親も一年前に亡くしたミチル。
電車の線路沿い、駅のホームが見えるところに父の残してくれた古い家で、彼女は、一人で暮らしています。
たずねてくるのは、小学校時代からの親友のカズエのみ。一人静かに、静かに死んでいく・・・そんなことを頭の片隅にいつも抱いている女性。
そして一方。
人付き合いが苦手で、職場の人間関係に悩み苦しみ、仕舞いにはいじめられる先輩に殺意を抱くアキヒロ。
ある日、毎朝利用する駅のホームで人が急行に跳ねられて死ぬ。それがアキヒロによって突き落とされた職場の先輩、マツナガということになり、殺人の容疑者として警察から追われるアキヒロが転がり込んだのが、ミチルの家。
視力障害のある彼女に、極力気配を悟られないように、居間の片隅にうずくまり息を潜める彼。
そんなアキヒロの気配を感じながら、恐怖と身を守るために知らない振りをしようと決意するミチル。
ふたりの人間の不思議な同居がはじまり、そこにカズエと、もう一人の人間がかかわり。。。
ミステリー小説。複線を追って謎解きをすると、比較的簡単に、、、実はその駅の殺人の経緯がわかりました。
ただ、今回の私は、ねぇ。。。
ミチルの生活。日常にすごく目がいった。
彼女は、生まれながらの障害ではなく、あるとき目の病で失明します。
だんだんに見えなくなっていく周りの世界。遂に、日中の太陽や写真のフラッシュなどの「強い光」だけをぼんやりと見えるのみ、の状態になるのですが。
父を失った後の彼女は、毎日の家事はきちんとするけれど、それ以外の時間はほとんどを居間のこたつの前で丸くなって寝転がって過ごす。
一週間に一度はカズエが買い物ついでに彼女を外の世界にひっぱりだすけれど、それがなければ、日がな一日、ひたすら丸くなってじっとしている。
なんだかねぇ。
そんな生活が、いいなあ~~~と、思ってしまったりして。
ミチルがうらやましいなあ、なんて思ってしまったりして。
ちょっと、真似して部屋で丸くなってみたら、「ママ、眠いの?」と聞かれました・・(爆)
そうやって声をかけられる幸せは充分わかってるんですが、、、ね。
ラスト。彼女は彼と歩いていきそうな雰囲気で終わります。
うん。確かに先日読んだ「Calling You」と、「しあわせは子猫のかたち」と合わせて3部作なんですね。
人との付き合いの下手な人間を描く3部作。
それに惹かれた私ってのも、ちょっとね、と思ったりしつつ、頑張って読み終えました。
個人的には「しあわせは子猫のかたち」が一番好きかな。