goo blog サービス終了のお知らせ 

遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

崩壊し始めたロシア経済、来年には資金枯渇か

2023-03-30 01:33:55 | ロシア全般
 ロシアによるウクライナ侵攻開始当初は、石油・ガス価格が跳ね上がり、ロシアに思わぬ巨額の利益をもたらした。だが、こうした局面は終わった。
 戦争が2年目に突入する中、西側の制裁による打撃が広がり、ロシア政府の財政は厳しさを増している。経済は低成長軌道へとシフトし、長期的に脱却できない可能性が高まっていると、WSJ。
 
崩壊し始めたロシア経済、来年には資金枯渇か - WSJ By Georgi Kantchev and Evan Gershkovich (以降 WSJと略称) 2023年 3月 29日

 【モスクワ】ロシアによるウクライナ侵攻開始当初は、石油・ガス価格が跳ね上がり、ロシアに思わぬ巨額の利益をもたらした。だが、こうした局面は終わった

 
戦争が2年目に突入する中、西側の制裁による打撃が広がり、ロシア政府の財政は厳しさを増している。経済は低成長軌道へとシフトし、長期的に脱却できない可能性が高まっている。

 
主要輸出品目である石油・ガスは主要顧客を失い、財政は悪化通貨ルーブルは昨年11月以降、対ドルで20%余り下落した。若者は前線に送られるか、徴兵への懸念から国外へ逃れ、労働人口は縮小不透明感が重しとなり、企業の設備投資を抑制している。

 
「ロシア経済は長期の衰退局面に入っている」ロシア銀行(中央銀行)の元当局者で、ウクライナ侵攻後にロシアを離れたアレクサンドラ・プロコペンコ氏はこう予想する。

 
短期的にロシアの戦費調達を脅かすほど、経済への打撃が深刻であることを示す兆候はまだ見られないだが、財政収支は赤字に転落しており、ウラジーミル・プーチン大統領が市民を生活の困窮から守る一助となってきた補助金や社会保障向けの支出と、膨らむ軍事支出との間でどう折り合いをつけるか、ジレンマが深まっている状況を示している。

 
ロシアの富豪オレグ・デリパスカ氏は今月の経済会議で、ロシアの財政資金が枯渇しつつあると警鐘を鳴らした。「来年には資金が尽きるだろう。われわれは外国人投資家を必要としている」

 欧州市場をほぼすべて失い、他の西側投資家が撤退するのに伴い、
ロシアは中国への依存を強めている。かねてくすぶってきた「中国の経済的属国になり下がる」との懸念が実体化しかねない状況だ。

 英国際戦略研究所(IISS)のマリア・シャギナ上級研究員は「ロシアが短期的には強い耐性を示しても、長期的な見通しは暗い。ロシアは内向き志向を強め、中国に過度に依存するようになるだろう」と話す。

 
見通し悪化の大きな原因は、エネルギーを武器に使えば、西側諸国によるウクライナ支援を抑制できるとのプーチン氏の読みが外れたことだ

 
欧州諸国の政府はウクライナへの支援を縮小するどころか、ロシア産エネルギーへの依存脱却に向けて代替調達先の確保に迅速に動いた。ロシア産ガスの欧州への供給がほぼ止まると、価格は当初、急騰したものの、その後急落した。ロシアは現在、石油生産を6月まで従来レベルから5%減らす意向を示している。同国の石油価格は国際指標を下回っている

 その結果、
ロシアのエネルギー収入は今年1~2月に前年比でおよそ半減し、財政赤字も膨らんだ1~2月の財政赤字は340億ドル(約4兆4600億円)と、国内総生産(GDP)比1.5%余りに達した。そのため、ロシアは危機時の財政緩衝材である政府系ファンド(SWF)から赤字の穴埋めを余儀なくされている。

 
ロシア政府は依然として国内で借り入れすることが可能であるほか、侵攻前から280億ドル減ったとはいえ、SWFはなお1470億ドル相当を保有する。行き場を失った石油についても、中国やインドが新たな受け皿になった中国はまた、ロシアがかつて西側から調達していた部品の多くを代わって供給している

 ロシア当局者は厳しい状況にあることは認めながらも、経済は迅速に適応していると話す。プーチン氏は経済への脅威に立ち向かう上で、政府は有効な対応を行っていると述べている。

 プーチン氏が約20年前に実権を握って以降、ほぼ一貫して高水準の石油・ガス価格がこの国の社会契約を支えてきた。具体的には、国民の多くが生活向上と引き換えに、政治への反対や抗議を概して控えるというものだ。

 
国際通貨基金(IMF)はロシアの潜在成長率について、ウクライナからクリミア半島を強制併合した2014年より前の段階では約3.5%だと推定していた。だが、生産性の低下や技術的な後退、世界からの孤立といった要因が重なり、今では1%程度まで下がったと指摘するエコノミストもいる

 前出の
プロコペンコ氏は「ロシアのような経済にとって、1%はないも同然で、維持する水準にすら届かない」と話す

 
ロシア中銀は今月、輸出の落ち込み、労働市場のひっ迫、政府支出の増加によりインフレリスクが悪化していると指摘した。ロシアの2月のインフレ率は前年同月比およそ11%だ。向こう数カ月には4%を割り込む水準まで一時的に下がる見通しだが、ウクライナ侵攻に伴う昨年の物価高騰というベース効果によるものだという。同じく他の経済指標の多くも、ベース効果から一時的に改善するとみられている。

 
ロシアのガイダル経済政策研究所は、同国の産業はデータの収集が始まった1993年以降で、最悪の労働力ひっ迫に見舞われていると指摘している。ロシア中銀によると、ウクライナ侵攻開始後の頭脳流出、昨秋の30万人規模の部分動員令により、企業の約半数は人手不足に陥っている。錠前師、溶接工、機械作業員らへの需要が最も高いという。

 
プーチン氏は先頃行った航空機工場の視察で、労働不足が軍事関連の生産を妨げていると発言。徴兵猶予を認める優先職業のリストを政府として策定していると述べた

 オレグ・マンスロフ氏はウクライナ侵攻前、米著名実業家イーロン・マスク氏の宇宙開発ベンチャー、スペースXの競合になることを夢見ていた。ところが戦争が始まると、投資家はマンスロフ氏が2020年に創業したSRスペースから資金を引き揚げた。

 2022年4月には経営破綻寸前まで追い込まれ、マンスロフ氏は生き残りをかけて、ウェブデザインや衛星画像解析などを手掛ける情報技術(IT)サービス企業へと業容を変えた。

 西側の衛星画像サービス企業はロシア市場から撤退したため、マンスロフ氏はこれまで相手にされなかったエネルギー企業ガスプロムや原子力企業ロスアトムといった国営大手が関心を示すようになったと話す。

 「質的な飛躍を実現するような長期的な商品開発ではなく、単に典型的な企業になり、収入を確保することに注力している」と話すマンスロフ氏。「まずは事業を存続させる必要があると認識している」

 
ロシア中銀は航空セクターでリスクが高まっているとの見方を示している新型の機体や部品の不足により、保守で問題が生じかねないという。ITや金融企業も、ソフトウエアやデータベース管理システム、分析ツールなど、西側のテクノロジーが利用できなくなったことで苦戦を強いられている

 鉱工業生産の伸びは、ここにきて戦争で大量に使われているミサイルや砲弾、軍服などの製造がけん引している。

 公式データでは軍事関連生産の内訳は明らかになっていないが、兵器や弾薬が含まれるとアナリストが指摘する「完成金属品」の項目は昨年7%増えた。同様に軍事品が含まれるとされるコンピューター、電子・光学製品は昨年2%増となり、12月は前月比41%増えた。対照的に、自動車は前年比およそ45%落ち込んだ。

 前出のプロコペンコ氏は、軍事関連の生産は問題を覆い隠すと話す。「これは真の生産の伸びではない。経済を発展させることはない」

 
ロシア経済は昨年、エネルギー価格高騰に支えられ、最悪の事態は免れた。公式データによると、GDPは2.1%減で、一部で予想されていた10~15%のマイナス成長ほど悪化しなかった。

 欧州へのガス輸出は昨夏になって減り始めた。欧州連合(EU)による海上輸送によるロシア産原油の禁輸や先進7カ国(G7)による原油価格上限が発動されたのは12月になってからだ。また、ディーゼルなどロシア産石油製品に対する制裁は先月に発効した。こうした遅れがロシアのエネルギー収入を支え、ロシア政府は昨年、GDP比およそ4%に相当する大型財政刺激策に踏み切ることができたとIMFはみている。

 ところが、
今年1~2月は政府歳入の半分近くを占める石油・ガス収入が前年比46%落ち込む一方、歳出は50%余り急増した。

 
ウクライナでの戦費が予算の重しとなっており、ロシアが現時点で財政収支を均衡させるには、石油価格がバレル当たり100ドルを超える必要があるとアナリストは推定している。

 ロシア財務省によると、同国の代表的な油種である
ウラル原油の平均価格は2月、バレル当たり49.56ドルとなった。これは同月に80ドル程度で取引されていた国際指標の北海ブレントに対して大幅なディスカウント水準だ。

 
ウィーン国際経済研究所のエコノミスト、バシリ・アストロフ氏は「ロシアは石油の販売先が限られるため、今では世界の市場で価格交渉力が弱まっている」と指摘する。

 
個人消費も勢いを失っている。2022年の小売売上高は6.7%減と、2015年以来、最悪の落ち込みとなった(政府データ)。欧州ビジネス協議会(AEB、モスクワ)によると、2月の新車販売は前年同月比62%減だった。

 今年については、マイナス成長が続くと予想する声が支配的だ。だが、IMFなど一部では、わずかなプラス成長を確保するとの見方もある。

 もっとも、
IMFは2027年までには、ロシアの成長率がウクライナ侵攻前の予想から7%程度切り下がると想定している。「人的資本の喪失、国際金融市場からの孤立、先端技術の入手困難などの要因がロシア経済を損なう見通しだ」としている

 エネルギー調査会社ライスタッド・エナジーでは、ロシアの石油・ガス探査・生産向けの投資額が今年330億ドルと、ウクライナ侵攻前の予想である570億ドルから落ち込むと分析している。これは将来的に生産量が減ることを意味する。
英石油大手BPのアナリストは、2019年には日量1200万バレル程度だったロシアの石油生産量が、35年までには日量700万~900万バレルまで下がると予想する。

 前出のアストロフ氏は「われわれは1年や2年の危機を言っているのではない」と述べる。
「ロシア経済は異なる軌道を歩むことになるだろう」


 プーチンのウクライナ侵攻に対し、自由主義陣営諸国が制裁網を敷きましたが、石油・ガス価格が跳ね上がり、ロシアに思わぬ巨額の利益をもたらし、制裁を課した側は価格暴騰の返り血を浴びました。
 各国内では、外国のウクライナ支援が先か、国内の救済が先かの声が出始めてもいます。

 ところが、戦争が2年目に突入する中、西側の制裁による打撃が広がり、ロシア政府の財政は厳しさを増している。経済は低成長軌道へとシフトし、長期的に脱却できない可能性が高まっていると、WSJ。
 
 主要輸出品目である石油・ガスは主要顧客を失い、財政は悪化。通貨ルーブルは昨年11月以降、対ドルで20%余り下落した。若者は前線に送られるか、徴兵への懸念から国外へ逃れ、労働人口は縮小。不透明感が重しとなり、企業の設備投資を抑制していると。

 # 日本は、サハリン1, 2で、米英が撤退する中、非友好国指定されているのに、メジャーの撤退で新会社への移行をよぎなくされた新会社にしがみつこうとしていますが...。

 ロシア経済は長期の衰退局面に入っている」。ロシア銀行(中央銀行)の元当局者で、ウクライナ侵攻後にロシアを離れたアレクサンドラ・プロコペンコ氏はこう予想しているのだそうです。

 財政収支は赤字に転落しており、ウラジーミル・プーチン大統領が市民を生活の困窮から守る一助となってきた補助金や社会保障向けの支出と、膨らむ軍事支出との間でどう折り合いをつけるか、ジレンマが深まっていると。

 「来年には資金が尽きるだろう。われわれは外国人投資家を必要としている」
 ロシアの富豪オレグ・デリパスカ氏は今月の経済会議で、ロシアの財政資金が枯渇しつつあると、このように警鐘を鳴らしたのだそうです。

 欧州市場をほぼすべて失い、他の西側投資家が撤退するのに伴い、ロシアは中国への依存を強めている。かねてくすぶってきた「中国の経済的属国になり下がる」との懸念が実体化しかねない状況だと、WSJ。
 3月2日の、習近平のモスクワ訪問は、まさにその象徴を示したと言えますね。

 見通し悪化の大きな原因は、エネルギーを武器に使えば、西側諸国によるウクライナ支援を抑制できるとのプーチン氏の読みが外れたことだと、WSJ。
 欧州諸国の政府はウクライナへの支援を縮小するどころか、ロシア産エネルギーへの依存脱却に向けて代替調達先の確保に迅速に動いた。
 価格は当初、急騰したものの、その後急落。
 その結果、ロシアのエネルギー収入は今年1~2月に前年比でおよそ半減し、財政赤字も膨らんだ。1~2月の財政赤字は340億ドル(約4兆4600億円)と、国内総生産(GDP)比1.5%余りに達したのだそうです。

 国際通貨基金(IMF)はロシアの潜在成長率について、ウクライナからクリミア半島を強制併合した2014年より前の段階では約3.5%だと推定していた。だが、今では1%程度まで下がったと指摘するエコノミストもいると、WSJ。

 ロシア銀行(中央銀行)の元当局者のプロコペンコ氏は「ロシアのような経済にとって、1%はないも同然で、維持する水準にすら届かない」と。

 ロシア中銀は今月、輸出の落ち込み、労働市場のひっ迫、政府支出の増加によりインフレリスクが悪化していると指摘。
 
 ロシアのガイダル経済政策研究所は、同国の産業はデータの収集が始まった1993年以降で、最悪の労働力ひっ迫に見舞われていると指摘。
 ロシア中銀によると、ウクライナ侵攻開始後の頭脳流出、昨秋の30万人規模の部分動員令により、企業の約半数は人手不足に陥っているのだと。

 ロシア経済は昨年、エネルギー価格高騰に支えられ、最悪の事態は免れた。
 ところが、今年1~2月は政府歳入の半分近くを占める石油・ガス収入が前年比46%落ち込む一方、歳出は50%余り急増。
 ウクライナでの戦費が予算の重しとなっており、ロシアが現時点で財政収支を均衡させるには、石油価格がバレル当たり100ドルを超える必要があるとアナリストは推定しているのだそうです。
 現実は、ロシアの代表的な油種であるウラル原油の平均価格は2月、バレル当たり49.56ドル。
 ウィーン国際経済研究所のエコノミスト、バシリ・アストロフ氏は「ロシアは石油の販売先が限られるため、今では世界の市場で価格交渉力が弱まっている」と指摘しておられる。

 2022年の小売売上高は6.7%減と、2015年以来、最悪の落ち込みで個人消費も失速。
 IMFは2027年までには、ロシアの成長率がウクライナ侵攻前の予想から7%程度切り下がると想定。「人的資本の喪失、国際金融市場からの孤立、先端技術の入手困難などの要因がロシア経済を損なう見通しだ」としているのだそうです。

 英石油大手BPのアナリストは、2019年には日量1200万バレル程度だったロシアの石油生産量が、35年までには日量700万~900万バレルまで下がると予想。
 「ロシア経済は異なる軌道を歩むことになるだろう」と、WSJ。

 ロシアの中国への属国化が進むのでしょうか。



 # 冒頭の画像は、モスクワを訪問した習近平主席を歓迎するレセプションの一コマ



  この花の名前は、福寿草


↓よろしかったら、お願いします。



遊爺さんの写真素材 - PIXTA

写真素材のピクスタ


Fotolia


 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 電撃訪問でプーチンと会談し... | トップ | 久しぶりに中国の土を踏んだ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ロシア全般」カテゴリの最新記事